大騒動の清水-神戸、河井、立田、大崎…チャージは「全てファウル」。上川徹氏は主審への理解も求める
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アディショナルタイムと判定、二つの問題が重なり、騒動がより大きくなった。
Jリーグの原博実副理事長と日本サッカー協会の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが気になるジャッジを解説する、Jリーグのユーチューブ公式チャンネルのプログラム「Jリーグジャッジ・リプレイ」で、11月24日のJ1・33節・清水エスパルス対ヴィッセル神戸(スコアは3-3/IAIスタジアム日本平)の約20分間かかったアディショナルタイムの問題が取り上げられた。そこで原氏と上川氏は選手が負傷し、ピッチに倒れ込みながらも「ノーファウル」で流されたシーンについても検証。清水の河井陽介と立田悠悟、神戸の大崎玲央が競り合いやチャージで倒れたもののファウルと判定されなかった場面について、いずれも「ビデオで検証する限り、ファウルだった」と指摘した。
まず、ヘディングで競り合った河合陽介がアフターで橋本和と頭部をぶつけて裂傷を負ったシーンについて、上川氏は次のように説明し、ファウルにすべきだったと語った。
「ヘディングの競り合いの場面はレフェリーからすると、両チームの選手がボールに触れ、接触はアクシデントだと見ていました。ただし、映像で確認すると、ディフェンスの選手(橋本)はボールに触れていませんし、相手選手がプレーしたあとに接触を起こしています」
原氏はその直前の松原后が大崎玲央に空中戦で背中を手で押されているシーンもファウルだったのでは指摘し、上川氏も「(ファウルを)取っても良かったと思います」と認めた。
何より上川氏は判定以上に「頭と頭がぶつかって選手が倒れているので、選手の安全をまず優先して、試合を中断をすべきでした。それも一つ大事だったと思います」と強調した。
さらに、大崎がジャンプヘッドでボールをクリアする際、その横でポドルスキが立田をブロック。立田はピッチに倒れて痙攣を起こした。
その場面について、上川氏は「これはファウルです」と断言。一方、「そんな簡単に主審が判断できるかと言うと、そうではなかったとも思います。ハイボールを25番の選手(大崎)がヘディングする。レフェリーはどうしてもまずプレーする選手を見ます。ポドルスキ選手が予期せぬところから来て、守備側の選手(立田)も準備ができていないまま、こうしたこと(ブロック)が起きる感じはなかった。関節視野で認めることができませんでした」と説明し、この場面に関しては、理解を求めた。一概に主審だけの責任とは言えないようだ。
原氏はそのあとボールを持ちあがった大崎も、ファン・ソッコのファウルと言えるタックルを受けていると指摘。「選手もコントロールしたいが、全然ファウルにならず、コントロールがより利かなくなってしまっていった」。
そのあと、GK六反勇治のゴールが決まり3-3に。それでも試合が終わらず、さらにウェリントンが石毛秀樹を倒し、ピッチ上に物も投げ込まれ、乱闘まがいの騒動に発展してしまった。
原氏は「一つは時間の管理で問題があった。一方、判定をちゃんと取っていれば、ここまで荒れなかった。二つの問題が重なった」と語り、MCの平畠啓史氏も「時間の問題もあるが、ファウルかいなかという問題も、一緒に進んでいってしまった」と、二つの問題が同時進行したことを、より混乱を深めた要因に挙げていた。
上川氏は主審だけが責任を負うのではなく、あくまでも「レフェリーチーム」として、副審や第4の審判との協力体制が必要であるとも強調した。
「試合終盤や追加時間(アディショナルタイム)では、レフェリー側はもっとゲームコントロールに対して集中しないといけないし、選手の気持ち、あるいはスタジアムの雰囲気、そういったものを感じながらゲームをコントロールしていかないといけない。時間が余計にかかることで、選手はレフェリーへの不信感を募らせ、反則が起きても笛がならないと、試合の温度も上がる。やはりレフェリーチームとして、間違った運営がされていると指摘するなど協力をすべきでした」
アディショナルタイムと判定の問題をそれぞれ分けて考え、Jリーグも検証していくという。12月1日の最終節、J1残留を決めた神戸はホームでベガルタ仙台と、一方、清水はアウェーでV・ファーレン長崎と対戦する。
文:サカノワ編集グループ