新競技規則:ハンドの新基準、キーワードは「大きなバリア」。U-24日本代表&なでしこの親善試合から採用
VARの介入を経てのOFR。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
Jリーグは6月19日から適用。
日本サッカー協会(JFA)は5月31日、2021-22シーズンの新競技規則のメディア向けの説明会を行い、一番の注目点となるハンドのファウル改正について、JFA審判委員会の黛俊行委員長、扇谷健司副委員長が詳しく解説をした。主審の判断や裁量がより重視・尊重され、ハンドでのキーワードは「大きなバリア」になる。
サッカーの競技規則を決定するFIFAの機関である国際サッカー評議会(IFAB)が、基本的に1年ごとにルールを改正、その改正内容と全文を各国に通達。ヨーロッパ主要リーグの開幕時期に当たる夏から採用されている。
日本国内ではこのルールが採用される東京オリンピックに先駆けて、6月5日のU-24日本代表対U-24ガーナ代表戦と12日のナイジェリア代表戦、さらになでしこジャパン(日本女子代表)の親善試合でまず採用。Jリーグでは6月19日からの適用だ。
ハンドについての改正ポイントは次の点である。
・手や腕にボールが当たったとしてもそのすべてが反則になるわけではない。
・選手が手や腕を用いて体を不自然に大きくする基準に関し、それぞれの状況において、引き続き主審が選手の動きに関連して、手や腕の位置が体を大きくしているかどうかの妥当性を判断しながら判定する。
前回の改正で細かい点まで説明が加えられたが、逆にあまりにも厳格に適用としようとして混乱が生じたため、今回それらが省かれたという。
ポイントになるのが「大きなバリア(障壁)」だ。ボールが手や腕に当たったことの妥当性が、そこで図られる。
「大きなバリア」とは、手や腕が体の幅を大きくするような位置にある状況でボールに触れる、当たることによりボールの進行を妨げ、次のような重要な状況に影響をもたした場合だ。
●相手選手のシュート、クロスをブロックする。
●守備側選手がボールまたは相手選手に“チャレンジ”する“立ちはだかった”とき。
こうした状況で腕にボールが当たれば、ハンドの反則になる。
しかし逆に、腕を不自然に大きくしていない場合は反則の対象にならない。以下の状況ではいずれもボールが腕に当たってもファウルに該当しない。
●手や腕が体に近い位置にある。
●手や腕は体から離れているが、選手の「自然な」動きによってその位置にある
●ボールに当たるのを避けようとして、手や腕が体の内側の方向に動いている。
●自身で意図的にプレーしたボールが触れる、または当たる。
●手や腕がはすでに広がっているものの、ボールは近くにいる味方選手からなど、予期しないところから来て、腕に当たる。
●手や腕が選手の体を支えようとして地面についている、またはつこうとしている。
JFAの公式サイトで、具体的な対象・対象外のケースが映像を用いて紹介されている。それを見ながら確認すると最も分かりやすそうだ。
主審の裁量・主観がより重視、また尊重されることになる。それだけに、どこからが「大きなバリア」なのかは、審判一人ひとりによって範囲が異なってくるのは否めない。ただ、上記にある通り、腕が近くにあるのか、あるいは内側に動かしているのか、そのあたりが一つ基準になるだろう。
それだけに、選手はセルフジャッジがより命取りになりかねない。重大な局面でなければノーファウルとなり、そこで攻守が切り替わることも出てきそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]