【東京五輪】なでしこメダル獲得のキーパーソンは杉田妃和。光る積極的な守備、さらにその先のゴールを目指せ!
なでしこジャパンの杉田妃和。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
2019年の女子W杯での悔しさを糧に進化。攻撃的なポジションで“突破口”を切り開きたい。
[東京五輪 GL3節] 日本女子代表 – チリ女子代表/2021年7月27日20:00/宮城スタジアム
東京オリンピック・サッカー女子、なでしこジャパン(日本女子代表)はイギリス女子代表に0-1で敗れた。GL1分1敗の日本は27日、決勝トーナメント進出を懸けてチリ代表と対戦する。
日本の高倉麻子監督はイギリス戦でカナダ戦(△1-1)から先発5人を変更。バックアップメンバーから正式メンバー入りした林穂乃香を大抜擢した。
予想通り押し込まれたものの耐えた日本は、徐々に流れを引き寄せる。前半は今年に入って一番の出来だったと言える。
初戦から大きく修正されたのがファーストディフェンスの強度だった。
「ボールに行こう!」
序盤からセンターバックの熊谷紗季が大きく声を張り上げながらプレッシングを促す。その声に応えるように抜群の動きを見せたのが杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)だった。
FIFAランキングでは日本より上位にある対戦相手に、常に先手を取るのは難しい。左MFに入った杉田が対峙したのは、N・パリス、L・ブロンズなど世界屈指のプレイヤーである。
重要な役割は彼女たちに“スピードに乗らせないこと”。杉田は積極的な守備を見せ、ボールを奪い切ったあと、その勢いのまま前線に加わり好機につなげた。
「コースに体を入れたり、相手と併走する時間を減らすようにやりました」
杉田は言う。
しかし徐々に杉田にかかる負担も増加し、プレスの効力も下がり始める。そして決勝ゴールはここまで封じてきたブロンズのクロスが起点となってしまった。
カナダ戦は途中出場から攻撃を変化させ、イギリス戦では積極的な守備と、杉田は異なるプレーでチームを活性化させた。
2019年の女子ワールドカップでは不用意なパスミスからカウンターにつなげられるなど苦い経験もしてきた。そこからサイドハーフやトップのポジションを経験したことで、ゴールへの意識も強まった。
最短かつ有効な道筋を考え選択し、そこに献身さと強気な姿勢も加わった。
27日の第3戦はカナダ、イギリスを苦しめたダークホースのチリ相手に、勝利が決勝トーナメントへの第1条件になる。
勝負のカギは守備の先にある攻撃。高倉監督はここまで攻撃の構築に多くの時間を割いてきたが、イギリス戦の後半はその一片も披露できなかった。
とはいえ、その限界を超えていく挑戦こそが世界大会の醍醐味でもある。大会中のチームの進化がなければメダルには到達できない。
杉田も例外ではない。その守備からゴールへ――。まだ発揮し切れていないそのゴールへの意欲を体現できれば、突破口を切り開ける。杉田のさらに先へ突き進む姿勢が、なでしこの勝利――そしてメダル獲得への挑戦権を引き寄せるはずだ。
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[文:サカノワ編集グループ]