興梠慎三が代弁したオリヴェイラの思考「みんなを奮い立たせる」「あの戦術はしたくないはず」
浦和レッズの興梠慎三。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
浦和でのオリヴェイラ監督初采配。ミーティングは「やっぱり長かった」、しかし「気持ちが入った」。
[J1 10節] 柏 1-0 浦和/2018年4月25日/三協フロンテア柏スタジアム
浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督が初采配を振るった柏レイソル戦、ノーゴールに終わったFW興梠慎三は、「チャンスというチャンスがあまりなかった」と肩を落とした。4試合4ゴールと調子を上げたあと、最近リーグ2試合は無得点。この柏戦はゴール前で良い形でボールを受ける回数が限られ、ミドルレンジからのシュート2本に終わった。
「セカンド(ボール)をちょっと拾えなかった。ボランチ二人のポジショニングやバランスがあまり良くなく、二人重なる部分もあったかな。縦関係になることがあったけど、そこ(前目に出た選手)に俺がいて、もう少し横になってできれば良かった」
そのように最前線までのチームのバランスの悪さを課題に挙げ、「多分、相手とすれば簡単に守れたのかなと思う」と、脅威を与えられなかったことを悔やんだ。
鹿島時代の2007年から11年までオリヴェイラ監督のもとでプレーし、リーグ3連覇など5年間すべてのシーズンで主要タイトルを獲得した。ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)、天皇杯2度を加え、計6冠を一緒に手にしており、興梠はオリヴェイラ監督のことをJリーグで最も知る一人と言える。
柏戦の試合終盤、センターバック二人を前線に上げたオリヴェイラ監督の采配の意図について、興梠は次のように説明していた。
「あの戦術はあまりやりたくないとオリヴェイラも思っているはず。ただ、今日(柏戦)は内容もそこまで良くなかったから、一番点が取れると思ったのは分かります。そう思わせてしまった自分たちに責任があり、内容を改善していかないといけない。
チャンスが数多く作れていれば、多分、同じような戦術で終盤まで続けていたと思う。でも、あまりに良くなかったので、これしかないと思ったんでしょう」
78分にはベンチに退いていた興梠だが、過去に5年間ともにしていただけあり、指揮官の意図をすぐ理解していた。そして試合前のミーティングで、オリヴェイラ体制が始まったことを実感したという。
「(ミーティングは)やっぱり長かった(苦笑)。そこはオリヴェイラっぽいなって思いました。ただ、気持ちが入る。みんなを奮い立たせる。そこは聞きながら懐かしいと思いました」
まずは、1勝がほしい。そしてオリヴェイラ監督を「浦和の男」にするためには、勝利へと導く興梠のいくつものゴールが不可欠になる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI