【日本代表への推薦状】左利きの左SB“闘える”京都DF荻原拓也を東アジアE-1選手権で見たい!
荻原拓也。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
曺貴裁監督「左利きでスピードがあり、攻守にプレーできる日本の中でも数少ない選手」。
日本サッカー協会は7月13日、東アジアE-1選手権(19日から27日)に臨むサッカー日本代表のメンバーを発表する。今回は国内組のみの構成となる。ただコロナ禍の対策として、カタール・ワールドカップ(W杯)の選手登録人数が「26人」と近年の大会から3人増え、ここでアピールできた選手が、実質最終選考となる9月シリーズに滑り込める可能性はある。
もちろん基本的な位置づけ――現実的には“カタール後”をも見据えた、U-21日本代表組が主体となりそうだ。
そんななか、ぜひ森保一監督の招集してほしいイチ押しが、京都サンガF.C.の左サイドバック荻原拓也だ。浦和レッズのアカデミー出身で、現在浦和から京都へレンタル2年目。京都のJ1昇格、そして今季これまでリーグ14試合・2得点を記録し、前半戦の上位進出にも主力として大きく貢献してきた。年代別の日本代表に選ばれた経験も持つ。
貴重な左利きの左サイドバックで、曺貴裁監督のもとトランジションの早さと粘り強さが一段と増し、持ち味の球際へ向かう負けん気、スピードや積極果敢なオーバーラップやインナーラップがチームの大きな武器になっている。
日本代表では、長友佑都が10年以上にわたり左SBの一番手に君臨してきた。最近は中山雄太、そして左利きの伊藤洋輝が起用され出している。彼らのあとには、ポルトガル1部ヴィトーリアに加入した小川諒也も続く。またU-21日本代表では、V・ファーレン長崎のレフティ加藤聖、湘南ベルマーレの畑大雅も台頭してきた。
ただ伊藤はボランチ、センターバックでプレーしてきて、所属のVfBシュツットガルトでもCB(または3バックのストッパー)が主戦場で、左SBはオプション的である。
レフティで左SBのスペシャリストは希少だ。加えて、何より気持ちを前面に出して、チームのために“闘える”。そのタフさと人の心をも掴めるキャラクターも魅力である。
10日のアビスパ福岡戦で荻原はフル出場したものの0-1で敗戦。前節浦和戦は契約により出場できなかったため、この試合に向けて備えてきただけに、自らの不甲斐なさに悔しさを滲ませた。
京都の曺貴裁監督もこの22歳に大きな期待を寄せる。
昨年3月の大宮アルディージャ戦、前半で交代を告げられて涙を浮かべたこともあった。そのあと指揮官は荻原へ、こんな言葉を送っていた。
「交代したあと、泣きじゃくっていたので『泣いても前に進まないぞ』と、ちょっと怒りましたね。ただ本当に、チームを勝たせるとか、上手くなりたいという気持ちがすごく強い子。左利きでスピードがあって、攻守にプレーできる日本の中でも数少ない選手で、彼の驚くような成長を僕自身は期待していますし、皆さんにも期待してもらいたいと思います」
コロナ禍を経て代表戦も5人交代枠が定着しつつあるなか、ポリバレントよりスペシャリストがより重宝される時代を迎えている。また森保監督の選考は、五輪世代を含めたラージグループからの人選が続いているが、個々の成長を促しながらも優勝が求められ、ハートの熱さが必須になるのがE-1東アジア選手権だ。結果を残している選手の抜擢は、Jリーグ内の競争の活性化にもつながるはず。そんな成長を遂げる荻原抜擢をぜひ期待したい!
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