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【京都】屈辱のミスと交代。”泣きじゃくっていた”荻原拓也に曺貴裁監督が掛けた言葉と期待

荻原拓也。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

チームにダイナミズムをもたらしていたが失点に直結。前半で交代に――。

[J2 3節] 大宮 1-2 京都/2021年3月24日/NACK5スタジアム大宮
※大宮0-1京都、19分から再開

 雷雨により中止・延期により19分から再開された一戦、京都サンガF.C.が一旦追いつかれたもののピーター・ウタカの決勝PKで、大宮アルディージャに2-1の勝利を収めた。開幕戦のSC相模原戦(〇2-0)以来となる今季2勝目。京都の曺貴裁監督は試合後の記者会見で、次のように試合を振り返った。

「1-0であることが有利とは思っていませんでした。案の定、1-1になってから嫌な流れになりましたが、後半に入り、選手たちがしっかり自分たちと向き合い、やってきたことを信じてチームに寄り添ったことが、あのPKを生み、ウタカが決めてくれました。今日初めてピッチに立った選手も含めて、全員で掴んだ勝利だと思います」

 前半の失点は、左サイドのアップダウンを繰り返してきた荻原拓也の痛恨のミスパスを奪われ、ネルミン・ハスキッチに決められたものだった。

「我々は1日1日強くなっていくことを大きな目標にしていて、今日もプロとして、そのプレーがチームの勝利につながっているかというと、まだまだの部分はたくさんありました。それも踏まえての伸びしろだと思います。今日改めて選手に言ったのは、我々はもっと強くなれるし、強くならないといけない。そのためにはサンガタウンで、いい競争をして、今日学んだことをまた明日から生かしていこうと言いました」

 そして指揮官は「全員が少し一つの方向で、また一つの列車に乗って前へ進んでいけるキッカケの試合になったのではないかと思います」と、この1勝の価値を語った。

 その失点シーンについて、荻原の責任だったが? と質問されると、次のように振り返った。

「あのボールの処理は、キーパーを含めてどうだったのか。荻原も(若原)智哉もまだまだ若く、若いから許されるわけではないですが、今日の失点からチームが学べることもあったと思います。1-1はまだ同点で、ここからが再スタートだよという話をして、もっと前を向く勇気やボールを取ったら越えていく動きをして、ボックスに入っていかなくていいのか? このまま新幹線に乗って京都に帰っていいのか? という話をしました。本音でいうと、90分通してそのような姿勢を見せられるようにならないといけないと思います。そういう意味ではまだまだですが、選手たちはよく頑張ってくれました」

 そして荻原のハーフタイムの交代について、「中2日での選手の疲労もあり、調子が良い悪いにかかわらず、そういったスイッチは考えていて、一概に荻原が悪かったわけではありません」と説明した。

 ただ曺監督はそのロッカールームで、荻原に次のように話しかけたそうだ。

「交代したあと、泣きじゃくっていたので『泣いても前に進まないぞ』と、ちょっと怒りましたね。でもアイツは本当に、チームを勝たせるとか、上手くなりたいという気持ちがすごく強い子です。僕は今日のこの経験が勝負を背負ったなかでやってしまったことが、必ずアイツを伸ばすと思っています。左利きでスピードがあって、攻守にプレーできる選手は日本の中でも少なく、彼の今後の驚くような成長を僕自身は期待していますし、皆さんにも期待してもらいたいと思います」

 そのように21歳のレフティに、この失敗を糧に大きく進化を遂げてほしいと期待の言葉をかけていた。

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[取材・文:塚越始]