近づく神戸初優勝、酒井高徳がちょっと自虐「マジで勝ち慣れていないので、正直変な感じ」。J1制覇へのキーワードは…
神戸の酒井高徳。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
「前に使える力を残せるような守備を心掛け、『後ろは任せろ、大丈夫だ』と伝えていました」
[J1 30節] 神戸 3–1 鹿島/2023年10月21日14:00/国立競技場
J1リーグ30節、ヴィッセル神戸が佐々木大樹の2得点と井出遥也のゴールで、鹿島アントラーズに3-1の勝利を収め、首位をキープした。2位の横浜F・マリノスも北海道コンサドーレ札幌に勝ち、勝点は4差のまま、残り4試合に突入する。
ロシア・ワールドカップ(W杯)メンバーである元日本代表のDF酒井高徳は、この日も右サイドバックとしてフル出場。鹿島の藤井智也と安西幸輝のアタックを力強い守備で食い止め、1列前にいる佐々木をはじめアタッカーの攻撃力を引き出した。
逆転優勝の可能性のあった鹿島を相手に、シュート数でも18本対6本と圧倒した。酒井はハードワークを全員で貫けたことを勝因に挙げる。一方、前線の選手がゴール前で最大値のパワーを発揮できることにも重点を置いていたと明かした。
「(佐々木など)前に使える力を残せるような守備を心掛けるようにして、そのようなポジションを取らせて『後ろは任せろ、大丈夫だ』と伝えていました。しっかり、前へ前へ力が出ていたのは良かったと思います」
ドイツ・ブンデスリーガ時代、良い時代もあれば、悪い時代も経験した。むしろ、名門ハンブルガーSVが下降線を辿る苦しい時代を、キャプテンとして支えた(1部残留も果たしている)。そして神戸に加入後も、昨季まではリーグ戦では何度も残留争いを乗り越えてきた。
32歳にして初めて経験する「1部リーグでの首位キープ」。この状況を問われた酒井は苦笑いを浮かべながらも本音を語った。
「マジで勝ち慣れていないので、正直、変な感じがするのはありますよ。簡単なようで難しいこと。自分たちが勝っている時にやれている内容を、毎試合どれだけ続けられるか。それがとても大事だと感じます。
(ドイツ時代は)性格的にも向こうはまとまりがなくなると、1試合良くても、一喜一憂して悪くなることが多かった。そういう難しさはありました。
状況的にも一回負けてしまったらメンタルが落ち、そのなかでも自分自身を保つようにしていましたが、チームスポーツの難しさはありましたね。
今はこうして、みんなが戻るべき立ち位置がどこなのか、どのようなベースがあるのかがハッキリしていて、惜しみなくしっかりハードワークできている。それが勝ちにつながっています。自分にとって、この状況は楽しいし勉強になります。
新しい経験をさせてもらっています」
そしてリーグ優勝をするためには「経験」がモノを言うと言われる。首位に立つ重圧は、1試合ごとに増すのではないか……。
酒井はそのプレッシャーに打ち克つポイントを問われると、「ハードワークです。それしかありません」と即答した。
「前線からしっかり守備をすることが、いい攻撃につながっています。それは、みんなで大事にしていきたい。辛い時間でも我慢できることが、チームにプラスになっています。ハードワークは自分たちにとって大事。あと4試合、1試合も気を緩ましちゃダメだよ、と肝に銘じていきたい。上手いプレー、良いプレーで勝っているんじゃない。泥臭くハードワークしているから勝っている。それをこのままチームに浸透させられればと思います」
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ある意味、日本代表を経験する選手の中でも、最もサッカーの酸いも甘いも知る一人と言えるかもしれない。七転び八起きのサッカー人生をタフに乗り越えてきた酒井が、2020年元日の天皇杯の栄冠に続き、J1リーグを制して日本一のサイドバックになる日がついに来るのか――。