「走り切る」柏木陽介が挙げたシンプルかつ明白な浦和の次なる課題
浦和レッズの柏木陽介(写真は昨年のACLより)写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
長崎戦で問われた”走りの質”。鳥栖戦でこだわれるか。
[J1 21節] 鳥栖-浦和/2018年8月11日19:00/ベストアメニティスタジアム
「3連戦のうち2試合が強い相手(サンフレッチェ広島 〇4-1、川崎フロンターレ 〇2-0)に勝てたとはいえ、一人ひとりが下位のチームとやる難しさを感じていて、ここが大事だと思っていたが……ちょっと走り切れなかった」
浦和レッズの司令塔、柏木陽介はV・ファーレン長崎戦との一戦をスコアレスドローで終えたあと、そのように悔やんだ。
「そこまで決定的なチャンスを作れなかった。距離感は少しずつ良くなってきているけれど、つなぎのところで、ボランチの俺や青木が下がってボールを持ったら、みんなが(パスを)”出して動く”という作業をもう少しずつ出せたらと思う」
柏木はそのように言った。シンプルにパスをつないだあとに”走る”ことが足りていなかった。もちろん、この暑さだ。「全部、武藤も走れるわけではない」と理解している。そのうえで、効率的かつ意図的なスペースを突く動きが不足していると感じているのだ。冒頭の「走り切れなかった」という言葉に直結してくる。
加えて、切り替えたあとの”走り”にも言及する。
「(切り替えからのボール奪取について)そこを狙っていかないとサッカーが始まらない。前の切り替えを早くしていかないと始まらない。パスを出した選手も詰めていく。今日(長崎戦)はそこがぼやけていて、体の強い選手にボールが収まり持って行かれた場面もあった。そこで潰し切れる状況を作れれば。しんどいかもしれないけれど、前の選手が切り替えて動いて。俺もプレッシャーをかけて相手に自由を作らせない状況を作っていかないといけない」
つまり、なんとなくプレスに行く。なんとなく走り出す。なんとなく裏を狙う。パサーからすると、そういった中途半端な走りが多いと感じているということだ。
確かに2位のFC東京を見ると、サイドバックの室屋成であり、アタッカーの永井謙佑や東慶悟であり、走り切ってプレーを完結することが好調の要因に挙げられる。一つひとつのプレーを「やり切る=走り切る」先に、オズワルド・オリヴェイラ監督の手堅く勝ち切るスタイルの次なる段階に踏み出せるのかもしれない。
週末はフェルナンド・トーレスの加入したサガン鳥栖とアウェーで対戦する。浦和が苦手にする鬼門ベアスタでの一戦だ。
長崎よりも前線のタレントが揃っている。勝つためには、ハードワークが不可欠。加えて、質の高い”走り”でゴールを奪い、勝点3も掴み取ることができるか。さっそく走り切れるかどうか――が重要なポイントになる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI