【なでしこ】パリ五輪へラストチャンス。千葉玲海菜「失うものは何もない。全部ぶつける」。今日メンバー発表前、最後のNZ戦
早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
今日23時から第2戦。少し逞しくなったゴールゲッターが逆転でのメンバー入りを狙う。
[国際親善試合] 日本女子代表 – ニュージーランド女子代表/2024年6月3日23:00(現地16:00)/ Estadio Nueva Condomina(スペイン/ムシアラ)
パリ・オリンピックのメンバー発表を控え、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)がスペインでニュージーランドとの2連戦に臨んでいる。
なでしこジャパンは昨年の女子ワールドカップ(女子W杯)以降、オリンピックで戦う可能性のあるラージグループから招集されてきた。大きな入れ替えはないが、五輪のメンバー登録はW杯より5枠少ない18人になる。
そのなかで今回、千葉玲海菜(Remina CHIBA アイントラハト・フランクフルト)が選出されたのは小さくないサプライズだった。いわゆる復帰組だ。
スピードに乗ったドリブル、思い切りの良いシュート、前線からのチェイスなど献身を怠らない泥臭さもまた魅力のゴールゲッターだ。
2022年4月のなでしこジャパン候補キャンプに追加招集されて初めて日本代表入り。チャンスを掴み出した昨年9月、右ヒザ前十字靱帯を損傷してしまう。それでも翌年の女子ワールドカップ(女子W杯)のメンバーに滑り込み、初戦ザンビア戦のピッチにも立った。
そしてアジア競技大会にも出場。日本の優勝に貢献した。
「ほぼ初対面の選手たちと大会に臨み不安もありました。ワールドカップの悔しさがあるなかでのアジア大会だったので、自分がやってやろう! と。ゴールという形で優勝に貢献できて嬉しかったです」
このアジア会の”裏テーマ”として掲げた「自分の価値を上げる」ことを達成した千葉は、今年1月、フランクフルトへの移籍を決断した。そしてこのスペイン遠征で、再びチャンスが巡ってきた。
久しぶりに見る25歳になった千葉の姿は程よく筋力が乗り、シュートの精度や迫力も増した印象だ。
「少し逞しくなったかもしれません。周りの身体能力が高く、簡単にフィジカル負けしないように筋力トレーニングを結構やっています。華奢だから潰されそうって思われるのもイヤだったし、環境を変えたなら良くも悪くも変わったほうがいいと思って(笑)」
「基本的に海外の選手のボールは速いんですが、そこに“思いやり”の要素がない(笑)、こっちに届いたあとは、どんなボールだとしてもこっちのミスになる。だから意識的にというよりも自然と(筋トレを)行ってきたところもあります」
オリンピックの登録数は18人。千葉はまさに当落線上だが、この第2戦で勝利に貢献してアピールできれば……”逆転”のチャンスは十分ある。
「(オリンピックに向けて)ラストチャンスではありますけど、本当に楽しみなんです。自分には失うものは何もないので全部ぶつけようと思っています!」
これでこそ、千葉玲海菜だ。タレントがひしめくアタッカー陣だが、必ず彼女にもチャンスは来るはず。その時、ドイツに渡って進化を遂げた、新たな千葉を見せてくれるに違いない。
取材・文・写真/早草紀子