×

町田ゼルビア問題を『ワイドナショー』が特集。より深刻なJリーグの危機は…

写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

田村淳さんは「発信者情報開示請求」で個人を特定し裁判も実施、「誹謗中傷は減った」。

 J1リーグFC町田ゼルビアがこのほどSNSでの誹謗中傷に対し発信者を特定して名誉棄損罪により刑事告訴することを発表した件が、10月20日に放送されたフジテレビの人気番組『ワイドナショー』で取り上げられた。

 今回はこの問題が起きた背景にも触れて、実際にSNSでの誹謗中傷に対して、「発信者情報開示請求」で個人を特定し、訴訟を行ってきたというタレントの田村淳さんが「それによって誹謗中傷は減った」という効果などを語った。また、コメンテーターの前園真聖さんは黒田剛監督の青森山田高校での実績、人物像などにも触れて、自身の見解を示した。

 一方、前園氏が出演していることで、司会の東野幸治氏をはじめ配慮し、最近の出来事の中でサッカーで話題になったニュースを取り上げて“くれている”のが伝わってくる内容でもあった。

 何よりJリーグが危機感を持つべきは、コメンテーターの方たちの中で、Jリーグのクラブや選手に興味を持っている人がほぼ皆無だという現実だろう(田村さんがサッカー観戦に行かれていた話は耳にする)。

 J1リーグ20チーム制、新国立競技場の活用、無料招待に力を入れたJリーグの施策、そして京都に続く広島の新スタジアム供用開始の大きな効果で、今季は「歴代最多観客数」が達成された。そういった施策はリーグ自体のスポンサー獲得にはつながるのかもしれない。一方、招待客のうち3人に一人が再びスタジアムに訪れていると言われるものの、成績が影響するとはいえ、チームによっては、そこまでスタジアムに人が増えた実感は受けない。リーグ主導の様々な施策によるクラブチームへの効果やメリットが、あまり見えずにいる一面もまたある。

 コロナ禍を契機に、Jリーグ自体が”大きな政府”になり、リーグが大きな権力を持ち、様々な取り組みを主導してきた。むしろクラブの利害まで奪っているのではないか……。それを物語るように「チーム」「選手」にスポットが当たらずにいる。

 今回のように「Jリーグは」という主語で語られる時、スター不在もあり、どうしてもピッチ外の問題しか世間的な話題にならずにいる。数字や金額ばかりの”記録”が強調され、「顔」が見えてこない。地上波のテレビコーナーから、Jリーグが”面白い!”という空気こそ感じたいところだが……。

関連記事>>浦和戦のインプレー「90分中47分」。時代に逆行する町田のロングスロー問題、なぜJリーグ、審判委員会はアウトオブプレーに寛容なのか

 野々村芳和チェアマンが掲げた「みんなで最高の作品を作っていきたい」という理想に多くのファンは共感し賛同しているなか、その輪をどのように広げていくのか。リーグがどこまで関与し、クラブ主体としていくのか。欧州への選手流出が続くなか、いかにピッチを情熱的にして、一人でも多くの人を惹き込むかが今後のテーマになりそうだ。

Ads

Ads