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なぜ文春側は「同意」したのか? 松本人志さん訴訟取り下げ。「捜査機関と違い…」若狭弁護士が解説

松本人志さん。(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)

自身のユーチューブチャンネルで、それぞれの視点から。「松本さんは裁判の中で自分の言い分を知らしめたい考えもあったはずですが」

 性加害疑惑の虚偽報道をしたとして週刊誌とその発行元などに慰謝料を請求したダウンタウン松本人志さんの民事訴訟は11月8日に双方合意のうえ、訴訟が取り下げられた。松本さん(代理人弁護士)、所属先の吉本興業、週刊文春がそれぞれコメントを発表し、事実上この件は終結した。

 弁護士の若狭勝氏は11月10日、ユーチューブチャンネル『弁護士 若狭勝のニュース塾』でこの件を取り上げ、法律の専門家の視点から分かりやすく解説している。そのなかで、なぜ文春側が松本さんからの訴え取り下げに「同意」したのかについて説明している。

『訴訟の取り下げ』は原告側が訴訟自体を「なし」にしたいという話で、一方、『和解』は訴訟を起こした事実は存在し、あくまでも互いに譲歩して裁判を終わらせる手続き。今回の「訴訟取り下げ」は原告の松本さんからの希望を、被告である文春側が同意しなければ成立しなかった。

 そこに至ったのはなぜか。

 若狭氏はそれぞれの視点で次のように説明した。

「一般的に言うと、訴訟の取り下げは原告側が、もうこれは勝ち目がないと思った時、時間と費用をかけないでもう終わらせるようと、取り下げることが多いです」

 松本さんのケースでは、「松本さんは裁判の中で自分の言い分を知らしめたい考えもあったはずですが、勝ち目が少ないことに加え、1日も早く芸能界に復帰したい希望があり、両方を天秤にかけて、芸能界復帰のほうが勝ったという見方ができると思います」と捉えていた。

 一方、文春側のメリットについて。若狭弁護士は次のように解説した。

「文春側は記事の正当性を勝ち取ることが、まず価値観としてあったと思います。一方、このあたりで終結することにもメリットはあるな、と。週刊誌は捜査機関と違い、徹底的にやり遂げるというより、記事を載せたことでの社会的影響力があった、あるいは松本さん側に反省を求めることができたのであれば、目的を達成できたという価値観もあったと思います。

 訴訟を続ければ女性被害者の特定を余儀なくされる恐れもあります。証人として出廷させる恐れもなくはない。終結することに相当のメリットを感じた。ということで、訴訟の取り下げに同意したと見て取れると思います」

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 当初は「和解」に向けた話し合いが行われていると見られていたなか、松本さん側の事実上の負けとも言える「訴訟取り下げ」で決着がついた。どこかで着地点を見出すことが求められ、この松本さん側からの申し出は、文春側にもメリットがあったということだ。