【鹿島】鈴木優磨も喜んだキム・テヒョン、絶妙アシストの背景にあったこだわり「もっとチームメイトのために」
鹿島のキム・テヒョン。写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA
まだまだ強くなっていけるはずだと確かな感触を得るセンターラインを貫くゴールに。
[J1 19節] G大阪 0-1 鹿島/2025年5月31日18:03/パナソニック スタジアム吹田
J1リーグ19節、鹿島アントラーズは開始9のレオ・セアラ弾を守り切り、ガンバ大阪に1-0の勝利を収めた。前半戦の19試合を終えて、2位京都サンガF.C.(3位 浦和レッズ、4位 柏レイソルも同勝点)に6ポイント差をつけて首位で折り返した。
劣勢のなかで仕留めた先制&決勝ゴール。レオ・セアラへのフィードを放ったのが、センターバックのキム・テヒョンだった。得点ランキング1位のストライカーの動き出しに反応し、左足から短いインパクトで正確なキックを放つと、レオの巧みなタッチからのゴールを引き出した。
関川郁万の負傷離脱後、センターバックのレギュラーの座を掴んだ。
直近の横浜F・マリノス戦では、劣勢を強いられた前半に3失点を喫して敗れた。立ち上がりから相手のエースであるアンデルソン・ロペスにボランチが付く形になり、全体が後傾になってしまい押し込まれた。
そのあたり前半の守備のアンバランスさやセンターバック陣の強みを生かし切れずにいたこと、ピッチ内で対応できなかったことを鈴木優磨も反省点に挙げていた。
後半からは、キム・テヒョンがより前へプレスを掛けるように修正。接触プレーで倒れ込みヒヤリとする場面もあったが、思い切ったプレーの感覚を徐々に掴んでいった。攻撃面では、その左足のフィードから起点にもなった。
ただし敗戦を受けて、キム・テヒョンは試合後、悔しさを噛み締めていた。
それでも後半は無失点に抑えた。自身の強みを発揮できてきたのではないか?
その問いに24歳のセンターバックは小さく頷いて、「でも……」と答えた。
「そのプレーを勝利のため、もっとチームメイトの良さを引き出すことにつなげなければ意味がありません。そこがまだまだ課題です」
完敗と言えたただけにストロングポイントを発揮できたかどうかに関心は示さず、納得などしていなかった。
それから約1週間後のG大阪とのアウェーゲーム、そのフィードからレオ・セアラのゴールを引き出してみせた。得点の直後、鈴木はゴールを決めたレオ・セアラに続いて、アシストしたキム・テヒョンのもとに駆け寄り祝福した。歓喜の輪の中で、二人は大きな笑顔を浮かべていた。
リーグ優勝のみを目指している。勝利を積み重ねるごとに少しずつ現実味を増すその目標に向けて、俺たちはまだまだ強くなっていけるはずだと確かな感触を得る、鹿島のセンターラインを貫くゴールとなった。