昌子源も恐れた脅威。横浜FM天野純が決勝導く2ゴール演出「新しい歴史を作る」
横浜F・マリノスのMF天野純(天皇杯の横浜FC戦より)。(C)SAKANOWA
「天野くんのことが頭にあった」と昌子は直接FKを与えないようにウーゴ・ヴィエイラへ対応。
[ルヴァンカップ 準決勝 第2戦] 横浜FM 2-2 鹿島/2018年10月14日/ニッパツ三ツ沢球技場
※2試合トータル4-3で、横浜FMが決勝進出。
横浜F・マリノスのMF天野純が鹿島アントラーズとのルヴァンカップ準決勝第2試合、2ゴールをもたらすインパクトのある活躍を見せ、チームを同大会の17年ぶりの決勝に導いた。
4-1-2-3の左インサイドハーフで先発した天野は、ボールを持てばまず前を向いて仕掛けて、チームに推進力を与えた。立ち上がりに攻勢を仕掛けた鹿島も、天野にボールが入るとひるんだ(ラインを下げた)。
そこで相手に間延びが生じたのを見逃さず、20分、仲川輝人のパスをペナルティエリア外中央に入り込んだ天野が、躊躇わずダイレクトで左足で合わせる。するとボールは相手DFにあたり、こぼれたところをスナイパーのウーゴ・ヴィエイラがしっかり突き刺し先制する。
さらに34分、左サイドの遠藤渓太の縦パスから、抜け出した天野がシュート性のクロスを放ち、詰めていた仲川がスライディングで押し込み2点目。この時点でトータルスコア4-1とする大きなゴールをもたらした。
「マリノスは伝統あるチームですけど、それは過去に偉大な先輩たちが作ってきてくれたことですし、僕らは何もやっていない。僕らが新しい歴史を作り上げていきたいという覚悟は持っています。そのためにも絶対に優勝したい」
試合後、天野はそのように力強く言った。
「自信を持ててみんなでできているし、1失点しても貫けば逆転できるという気持ちでいます。そういったメンタルの部分が大きいのかなと思います」
そういった気持ちの変化は、準決勝の第1戦からの3日間でも変化が出ていると感じていたそうだ。
「ファーストレグでは少し相手のほうが内容的に優位でしたけれど、こうして鹿島を相手に今日はしっかり自分たちのサッカーができて勝ち上がれたことに自信を持っていいと思います。観ていても面白いサッカーができている。だから優勝することで、サッカーの説得力も生まれる。そのためにも優勝したい」
天野はそのように「優勝」への渇望を繰り返し口にした。
また、途中出場した鹿島のCB昌子源は「天野くんの存在が頭にあった」とも振り返っていた。
「天野くん(の左足)を考えると、ペナルティエリア手前でウーゴ(・ヴィエイラ)に一発で当たりにいって、少し体をずらされてファウルを奪われれば、直接FKを与えてしまう。一度、ウーゴにボールを入れさせてから奪いに行ったりするなど、そういったことを瞬時に判断していました」
天野の存在そのものが、鹿島にプレッシャーを与えていた。そして鹿島の思惑通りに反撃をさせなかった。その脅威を与えられたのは、やはりこの日2ゴールをもたらす活躍を見せていたからでもある。
もちろん欲を言えば、2ゴールを奪ったあと、2本あった直接FKのチャンスなどキック精度が落ちてしまった感はあり、トドメを刺し切りたかった。ただ、もう一仕事は、決勝までとっておけばいいとも言える。
着実に進化を遂げている。存在感も、脅威も増している。何より魅せることのできる選手の一人だ。
先月のコスタリカ戦で日本代表デビューも飾ったが、ルヴァンカップを掲げる”日本一のレフティ”天野純をアピールするチャンスが到来した。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI