入社前行事は自腹、契約書なし…高知ユナイテッドにJリーグがけん責処分「労務管理を巡る法令違反」
高知ユナイテッドのエンブレム。(C)SAKANOWA
労働条件通知書の未交付が発覚、杜撰な労務管理とガバナンス不全を認定。
Jリーグは12月23日、J3リーグの高知ユナイテッドSCに対し、労務管理を巡る法令違反があったとして、けん責(始末書をとり、将来を戒める)の懲罰処分を科したと発表した。あわせて、同種事案の再発防止に向け、必要な措置を講じるようクラブに依頼した。
Jリーグの発表によると、高知は多くのスタッフに対し、法律で交付が義務付けられている労働条件通知書を渡していなかったことが確認された。加えて、雇用管理全般にずさんな対応が続いていた実態が、処分の対象になった。
この問題では、入社前の行事や研修への参加をスタッフに求めながら、その対価や交通費、宿泊費が支払われていなかった事例や、雇用契約書の未締結、労働条件通知書の未交付といった雇用管理上の不備が確認されている。
調査では、こうした不安定な雇用関係のなか、スタッフが自身の雇用に不安や不信を抱きながら就業していた実態が、問題の根幹にあったと指摘された。
懲罰量定にあたっては、クラブが問題発覚後に、代表取締役の追加選任やガバナンス強化、内部・外部相談窓口の設置、現場業務を担う執行役員の配置など、是正措置と再発防止策に着手している点が考慮された。また、スタッフ増員による業務負担の軽減や、研修の実施も予定されているという。
一方でJリーグは、この件は労務管理の基礎知識を有する職員を欠いたまま、経営陣や取締役会も十分な監督機能を果たせず、違法または杜撰な管理が漫然と続けられてきた「ガバナンス不全」に起因する事案であると指摘。クラブにとって、組織運営と管理体制の再構築が大きな課題であることを明確にした。
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高知は今回の処分を重く受け止め、労務管理体制の見直しと再発防止に取り組むとしている。Jリーグとしても、クラブ運営における法令順守と健全なガバナンスの重要性を改めて示す判断となった。




