「それは出しちゃいけないコメントだ」名波監督が苦笑。ある重要フレーズを解説する
ジュビロ磐田の名波監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
FC東京の大森への対応をどうするか?
[J1 32節] FC東京 0-0 磐田/2018年11月10日/味の素スタジアム
FC東京との一戦をスコアレスドローで終えたジュビロ磐田の名波浩監督が、試合後の記者会見で思わず苦笑いを浮かべるシーンがあった。
後半途中にメディアに配られる両チーム監督の「ハーフタイムコメント」についての質問が出たときだった。
「『相手セカンドラインのポジションで展開を引き込むこと』とハーフタイム、選手へ指示を出したそうだが、具体的にどのような意味でしょうか」
名波監督は苦笑いを浮かべて、「そのコメントが出ちゃったんだ。その部分は出してはいけないところだったんだけれどね」と説明。「でも、出てしまったのでしたら仕方ありませんね」と言い、むしろ、詳しく説明してくれた。
「(FC東京の4-2-3-1の左サイドハーフ)大森のところが、立ち上がり15分は、サイドに張り出したり、(CFの)ディエゴ(オリヴェイラ)のあたりをウロチョロして、捕まえやすく、3バックの余った1枚もアプローチに行けていました。ただ、次第に最終ラインまで入ったり、ワイドでずっと張っていたりするようになり、そこで我々の2列目(シャドー)がどのタイミングでボールへ行っていいのか分からなくなってしまいました」
そこで名波監督は次のように説明して送り出したそうだ。
「彼につくべきなのか、捨てて前に行くべきかという判断を、後ろからしっかり伝言ゲームをしていって、自分たちがハメたエリアでスピードを上げてボールを奪う形を作りなさいということでした」
大森のいる”相手のセカンドライン”で主導権を握る。そういった意味だったことが分かる。
指揮官は磐田の広報に対して「出ちゃいけないフレーズだからね」と、冗談まじりで改めて釘を刺していた。
ようするに指揮官は、もう少し高い位置から守備をハメ込みたかったのだと言う。
「(自陣ゴール前に近い)後ろでの対処にならず、前ではめ込み、自分たちからアクションを起こす守備が何回かできればと思いました。苦しんだ要因のひとつが、田口と山田が、ボールを奪った瞬間に後ろから米本、橋本に突かれてロストしてしまったところ。あそこから攻撃の一本のパスが入らなかったのが苦しんだ要因でした」
勝点1は積み上げることができた。ただ、3連勝&J1残留確定はならなかった。
それでも「間違いなく(勝点)2を失ったのはFC東京で、うちにとっては大事(勝点)1」としたうえで、「茨の道があと2試合続くが、来季につながるポイントを稼いで、ホーム最終戦では躍動感のあるプレーを見せたい」と意気込みを示した。
このあとJ1リーグは日本代表の活動による中断を挟む。そして磐田は11月24日の33節にホームでの北海道コンサドーレ札幌戦、12月1日の最終節にアウェーでの川崎フロンターレ戦に臨む。
文:サカノワ編集グループ