【高校サッカー選手権・東京都予選 】穴あきゴールPK戦、「勝者変更」は妥当か? 映像がなければ…。残された問題点│東海大高輪台vs駿台学園

高校サッカー選手権のエンブレム (C) SAKANOWA

映像の有無で選手の運命が変わるようでは、果たして公平な大会と言えるか

 全国高校サッカー選手権東京都大会Bブロック2次予選準々決勝、駿台学園高と東海大高輪台高のPK戦を巡る判定問題で、主催者の東京都サッカー協会と東京都高体連サッカー専門部は10月29日、当初の駿台学園の勝ち上がりを覆し、東海大高輪台の準決勝進出を決定した。

 10月24日の一戦は延長戦を含めて0-0で終了。PK戦の13人目、東海大高輪台のキックが決まり、主審はPK戦の終了を告げる笛を吹いた。しかしゴールネットの穴を抜けたにもかかわらず、審判団の協議によって、このキックが一転して失敗と判定された。PK戦は14人目まで続き、駿台学園が12-11で勝ち上がったと発表されていた。

 しかし、問題の場面を捉えた動画がネット上でも拡散された。主催者はその後の協議を経て、ゴールネットの破損に気づかずにPK戦を進行した結果、13人目のキックの判定に「重大な誤り」があったと認定し、勝者を変更した。

 東海大高輪台は実際にゴールを決めながら、敗退と判定されていた。今回の決定によって、選手たちがピッチ上で示した結果が尊重され、救済されることになった。その点では、前向きに評価できる。

 一方、重要な問題も残されている。

 そもそも、映像がなければ、この判定が見直されることはあったのか。

 もちろん、主催者が何を根拠に判断したのか、映像の扱いを含めて発表だけでは分からない。

 ただ、仮に映像の有無によって救済の機会が変わるのであれば新たな問題が生じる。

 サッカー競技規則第5条では、得点の有無や試合結果など、プレーに関する事実についての主審の決定は最終とされる。誤審があったからといって、原則として試合後に判定を覆すことはできない。

 今回は主催者がPK戦の勝者を変更したもので、試合そのものは0-0の引き分けで変わらない。それでも、審判団が一度失敗と判断したキックを成功と扱い、勝ち上がるチームを変更した事実は極めて重要だ。

 2018年の天皇杯2回戦、名古屋グランパス対奈良クラブでは、JFAが国際サッカー評議会(IFAB)に確認したうえで、PK戦全体のやり直しを決めた前例がある。

 ただし、このときは判定ミスではなく、競技規則の適用ミスが理由だった。JFAは、キッカーのフェイントに関する主審の事実認定は最終であり、覆らないことも明確にしている。

 今回の主催者発表では、「重大な誤り」と認定したものの、それが競技規則の適用ミスに当たるのか、あるいは判定ミスを大会運営上の判断で救済したのか、詳しい説明は示されていない。

 また、なぜPK戦の再開ややり直しではなく、東海大高輪台の勝ち上がりを直接認める判断に至ったのか。その根拠となる大会規定や判断の過程も知りたいところだ。

 今回の決定を前例とするのであれば、今後、同じような誤審が起きた際、どのような条件で結果を見直すのか。その基準を明確にしなければ、映像が残された試合とそうでない試合で、対応に差が生じかねない。

 もちろん、駿台学園の選手や指導者に非はない。主催者も別の声明でその点を強調し、同校への誹謗中傷には法的措置を含めて対応すると警告している。

 東海大高輪台の13人目のキックが決まったと認め、誤った判定による不利益を救済しようとしたことには意義がある。

 だからこそ、その結論に至る根拠と手続きを明確にする必要がある。今回の判断が一度限りの特例に終わるのか、それとも今後の高校サッカーにも通用する基準になるのか――。

 映像が残っているかどうかで、選手たちの運命が左右されるとすれば、それは果たして公平な大会と言えるのだろうか。

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