【高校サッカー選手権】インパクト残した岡山学芸館を支えた”カンテ”上山拳史郎
岡山学芸館を応援する横断幕。(C)SAKANOWA
目標のベスト8まであと一歩。中盤を支えた最も小柄なダイナモ。
ベスト16で敗れたものの今大会、個人技とコンビネーションをあわせた総合力の高さで際立っていたひとつが岡山学芸館だった。
1回戦の遠野戦を4-0、2回戦の仙台育英戦を1-0と、いずれも主導権を握って完封勝利を収めた。しかし3回戦の瀬戸内戦は、先制しながらも2点を奪われ逆転負けを喫した。目標にしていたベスト8まで、あと一歩届かなかった。
キャプテンで今大会4ゴールを決めた永田一真、瀬戸内戦で先制点を決めたFW岡田知也ら前線のタレントが輝きを放った。一方、そんな前線の華やかさを中盤の底で支えていたのが、誰よりも小柄な160センチの上山拳史郎だった。
最終ラインの前で全体のバランスを取りながら、危険地帯に入ってきた相手ボールを確実に奪い、「守」から「攻」への切り替え役を担った。1試合通して落ちない運動量も光った。
「僕はボール奪取とセカンドボール(の競り合いで勝つこと)がアピールポイントで、そこでチームに貢献したいと思ってきました」
上山はそのように語る。
低い重心をむしろ生かして、縦横無尽に誰よりもピッチを駆け回り、先を察知した素早い出足を生かし、まさにダイナモとなって随所で“上山ここにあり”というプレーを見せた。
「『自分が』というよりも『チームが』どのように良くなるか、自分がどうすればチームが良くなるかを常に考えています。ある意味、僕一人が犠牲になってでも、前の選手が自信を持ってプレーしてくれればと思っています」
チェルシーでプレーするフランス代表MFエンゴロ・カンテのプレーのことが好きだという。
「僕と同じように身長が小柄でも、海外の高いレベルでも体で当たり負けず、セカンドボールの回収もしていて、そこは参考にしています」。ちなみに日本人選手で好きなのは北海道コンサドーレ札幌の小野伸二で「あのパスセンスは観ていても好き」。
ベスト8はならなかった。それでも岡山学芸館が残したインパクトは小さくなかった。その中心で支えていたのが”岡山のカンテ”上山だった。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI