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鹿島の大岩剛監督が掲げたテーマ「融合」「喜びと悔しさを糧に」

15日の鹿島の始動日、「自信を与えてくれる表情をしていた」と大岩監督は選手たちの顔つきに手応えを得ていた。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

まず”ターゲット”は2月19日のACLプレーオフ。

 昨季クラブ史上初のACL(アジアチャンピオンズリーグ)を制した鹿島アントラーズは、1月15日に始動し、22日から宮崎キャンプに突入した。

 鹿島の大岩剛監督は15日の初練習後、2019シーズンへの抱負を語った。指揮を執って3年目、始動日から率いるのは二度目になる。

 最初の全体ミーティングでは、次のように選手たちに言葉を送ったという。

「我々はアジア王者として、ピッチ内外で相応の立ち居振る舞いであり言動を意識し、そしてピッチでしっかり結果を残そう。タイトルに向かって日々練習をやっていこう、という話をしました」

「また、去年成し遂げたことプラス悔しい想いをしたこと、いずれもしっかり反映しながら、いろんな面でレベルアップしていこう、とも伝えました」

 クラブワールドカップに参戦し、12月22日の3位決定戦を終えて帰国したあとオフに入った。Jクラブで最も短いオフとなってしまったが、天皇杯の準決勝と決勝が前倒し開催されたことを考えると、むしろ鹿島としては例年よりも比較的休めたと言えるかもしれない。

 ただし昨季J1リーグ戦3位だった鹿島は新シーズン、ACLプレーオフから参戦しなければならない。対戦相手はまだ未定だが、シーズン初陣は2月19日。指揮官も「まずそこがターゲットになる」と語る。ただ、ACLの本選出場が決まると、そこからJリーグとACLの連戦に突入する。開幕と同時に、チームの総合力が問われるわけだ。

「自分たちのプレーモデルやスタイルを大きく変えるつもりはありません。ただ、当然選手が代わり、新たに加わった選手のポテンシャルをしっかり把握する必要はあります。コンビネーションの精度を上げるためにも、トレーニングをしながら特長を掴み、今いる選手と新しい選手を融合させていくこと。それが自分の仕事だと思っています」

 チーム立ち上げからのキーワードとして、指揮官は「融合」を挙げた。

「(新加入選手には)ピッチの中では持っているものを100パーセント出してほしい。力のある選手ばかりですが、ユースから上がってくる選手、新卒の選手、彼らにいろんなものを背負わせるつもりはありません。持っている力をチームのため、クラブのために発揮してくれること、それがまず仕事です。そのためにサポートすることが私たちの仕事であり、サポートしてくれる選手もたくさんいます。そうしながら、しっかり融合を図っていきます」

 昌子源、西大伍が移籍し、小笠原満男が引退……一気に中心選手がいなくなってしまった。

 その新戦力――今オフの補強は果たして上手くいったか。その質問に対し、大岩監督は「すべては結果で決まる」と強調した。

「すべての選手に期待しています。今、所属している選手たちも、昨年の経験を踏まえ、非常にいい形で成長していると思います。補強が良いか悪いかは、結果次第で言われるところでもあります。それに補強だけがすべてではないと思っています。しっかりチームとしてのパフォーマンスに代えていきたいです」

 昨季のトピックスはACL制覇に集中しがちだが、決勝トーナメント突入後の連戦では、若い選手たちが目覚ましい台頭を遂げたことも忘れてはならない。イランでのACL決勝第2戦の4日前(中3日)、11月6日に組まれたJリーグ32節・柏レイソル戦(アウェー)は、金森健志、町田浩樹、山口一真という若手のゴールで(町田の得点は小笠原満男がCKからアシスト)3-2の勝利を収めた。痺れた一戦であり、この1勝がACL制覇へ大きな弾みを付けた。

「ACLの優勝は選手にとって非常に大きい自信になりましたが、Jリーグで若い選手があれだけチームのためにプレーできることを示したことは、非常に大きい自信になったと思います。喜びも悔しさもチームの糧にしていきたいです」

 喜びも悔しさも糧に、さらに強くなれる。大岩監督はその鹿島のクラブとしてのパワーに自信を持つ。

 始動時は別メニューだった鈴木優磨、三竿健斗、内田篤人の完全合流と実戦復帰が果たしていつになるのか。そのあたりも気になるところだが、2月下旬から3月上旬にかけて顔触れが揃ってくれば――アジア連覇&全冠制覇へ、最高のスタートダッシュを切れるはずだ。

清水から獲得した白崎凌兵。大岩監督は新戦力に、「自分の持ち味を出すことに集中してほしい」と強調していた。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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