鹿島新10番、安部裕葵のテーマ
鹿島の安部裕葵。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
昨季終盤に掴んだ、守備をしっかりこなして攻撃でエネルギーを使うコツ。
[ACL PO]鹿島 4-1 ニューカッスル・ジェッツ/2019年2月19日/カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズがニューカッスル・ジェッツに4-1の勝利を収めたACLプレーオフの一戦、安部裕葵は4-4-2の左MFで先発して80分までプレーし、山口一真と交代。ドリブルとパスを織り交ぜて前線を牽引し、鹿島の2019シーズン最初の公式戦勝利に貢献した。
クラブのレジェンドである小笠原満男が引退して、中心選手だった昌子源、西大伍が移籍していった。さらに日本代表の三竿健斗、鈴木優磨は負傷明けのためまだ万全ではない。
果たして鹿島は大丈夫か?
しかし、そんな周囲の声は杞憂にすぎないとばかりに、この日の鹿島の選手たちは躍動した。即興性のあるコンビネーションを組み入れながら、時間が経つごとに息を合わせていき、終わってみれば4ゴールを奪って快勝を収めた。
安部は相手ペナルティリア付近で確実にボールを収め、攻撃のスイッチを入れた。決定的なヘッドを外すなどゴールを奪えなかったことを悔やみつつ、試合後、彼は次のように語った。
「数字上の結果はゼロ(ゴール、アシストなし)で、そこは反省点です。でも、普段のトレーニングから体が動ていることは分かっていたので、前を向いて長い時間プレーすることができました。相手のサイドバックの選手に対し、主導権を握って試合を進められたことは良かったと思います」
相手がゴール前を固めるなかでも、細かいパス回しからの打開など、チームとしてメリハリのある攻撃を展開できた。ニューカッスル・ジェッツはシーズン真っただ中とあって、鹿島の選手とのコンディションの差は明白だった。ただ、「ゴール前のごちゃごちゃしたなかでは、個人のアイデア。創造性でカバーしていました」と、そんなフィジカルの強い相手を”いなして”勝てたことは、いくつもの収穫をもたらした。
新たに鹿島の10番をつける2019シーズン、安部はより攻撃面でパワーを発揮することをテーマにしているという。
「昨年は体もきつくて……。(疲労ということ?)守備面でエネルギーを使うことが多くなりました。ただ、そのなかで特にシーズン終盤、守備に慣れることで攻撃にエネルギーを使えるようになっていきました。今シーズンは、より上手く守備をすることで、攻撃のパフォーマンスを上げていきます」
この日もトランジション(切り替え)を怠らないなか、前線に変化をもたらしていたのが安部だった。10番の一挙手一投足から、攻撃のダイナミズムは生まれていた。相手チームにとって、昨季よりも嫌な存在になってきそうだ。
文:サカノワ編集グループ