鹿島の伊藤翔、同点弾につなげたベルベットタッチは「偶然です」
公式戦3試合連続ゴールと絶好調の鹿島FW伊藤翔。(C)SAKANOWA
公式戦3試合連続ゴール。しかしリーグは2試合勝ち星なし。
[J1 2節]川崎 1-1 鹿島/2019年3月1日/等々力陸上競技場
鹿島アントラーズのFW伊藤翔が3月1日の川崎フロンターレ戦で、公式戦3試合連続となる今季リーグ2点目を決めた。しかし移籍後リーグ初勝利はお預けとなり、「難しい状況ではあるが、これを続けていきたい」と貪欲にゴールへ向かう姿勢を示した。
リーグ連覇中の川崎相手、しかもスタジアムは超満員。そのなかで1節で大分に敗れていた鹿島は、「まず前半失点しないこと。それはみんな頭の中に入れていました。そういうふうに戦おうとしましたけど、なかなかね。そうは上手くいかなかったです」とプランを立てたものの、その上を川崎に行かれた。
だが、鹿島がそこから挽回した。川崎に攻め込まれるものの耐えて、反撃の糸口を探る。迎えた21分、右サイドから内田篤人がロングフィードを放つ。敵陣の背後にできたスペースを突いた伊藤がDF奈良竜樹をブロックしながらベルベットタッチ(トラップ)で、ボールを足元でピタッとコントロール。GKチョン・ソンリョンのポジションを見極めて、冷静に右足でシュートを逆サイドのネットに決めた。
伊藤は次のようにゴールシーンを振り返った。
「ウッチーから長いボールが来て、タイミングよく走り込めました。それに前でセルジーニョが相手のディフェンダーを引き付けてくれていたので、(その空いたスペースへ)自分が入って行き、良い形で得点できました」
後方から飛んできたボールをほぼトップスピードで扱い、足に吸い付くようなトラップに成功。その瞬間、誰も伊藤のボールを奪えなくなり、相手DFとGKの力を無効化させた。
「偶然ですね」
そのトラップについて聞かれた伊藤はそう謙遜した。
「試合が始まった時、まずボールを持ったら、(相手を)ひっくり返そうということで、長いボールを多く使っていく話をしていました。だからあのタイミングであれば、ボールが来るなと予測できて走り込めました」
ホームの開幕戦では自身がゴールを決めたものの大分に敗れ(スコアは1-2)、今回は最低限でも絶対に負けない、そのうえでもちろん勝利を狙っていくことを共通意識で取り組んだ。
「押し込まれる時間が長かったので、ロングボールやクリア気味のボールが多くなってしまったのはある程度仕方ないかなと思います。やはりFWなので、ゴールは求められていくのは当然です。そのなかで貢献できているのはいいんですけれど、チームが勝っていないので、難しい状況ですけれど、ここからも続けていくだけです」
鹿島の戦いにかなり早い段階でフィットしたのは、チームにとって大きな収穫だ。ただし、ここからはACL(アジアチャンピオンズリーグ)とJリーグの連戦が続く。負傷による離脱者が相次ぐなか、伊藤だけに負担が掛かってきてはリスクが伴う。もちろん、試合に出続けることでパフォーマンスやコンディションを保てる選手もいる。そのあたりの選手の状況をどのように捉え、チーム全体の活性化を図っていくのか。大岩剛監督のマネジメント力もまたポイントとなってきそうだ。
文:サカノワ編集グループ