柴崎岳が日本代表の危機を訴える「いつまでも”健闘”で満足していたら何も変わらない」
コロンビア戦でキャプテンを務めた柴崎岳。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
”緩い”雰囲気を察知した新主将「危険な状態になり得る」。
[キリンチャレンジカップ] 日本 0-1 コロンビア/2019年3月22日/日産スタジアム/6万3302人
コロンビア代表戦でキャプテンマークをつけた日本代表のMF柴崎岳は、ボランチとしてフル出場を果たした。何本か好機につながるパスやクロスを放ってチームをリードしたものの、勝利をもたらすことはできなかった。
試合後、柴崎は淡々と静かに、しかし心からの本音で「危機感」を感じていることを明かした。
「(今日の試合の評価すべきところは?)シュートチャンスがあったところだと思います。精度を欠きましたけれど、そこまでの(ボールの)運び方は悪くなかったと思います。数多くゴール前まで可能性を感じるプレーはできたと思います」
しかし──柴崎は一切満足していなかった。
「試合は負けていますし、点は取れず、失点も喫しています。しっかり原因を究明しないといけない。もしかするとアジアカップから続いていることなのか、新たな課題なのか。勝っていたとしても、もちろん課題はありますが。
でも……メディアの皆さんから記事でどう表現するかにもよります。捉え方によっては危険な状態になるのではないかなと思います」
そして柴崎は今回が「強豪コロンビア相手に健闘」と報じて済ませば、選手が成長できない、または何も変われない選手が出てくると説いた。
「得点チャンスにフォーカスできるほどの試合ではなかったのではないかと思います。
僕が一番危惧しているのは、日本代表の選手の結果だったり、試合の受け取り方の部分。あとはメディアの方を含めて、日本代表に対する描き方と言いますか。どういった評価をするのか。これで『良し』とするのか、成長しているとするのか。その日本代表に対する雰囲気というところが、場合によっては、少し危険な方向になるのではないかと感じています」
柴崎はより具体的に話を続けた。
「これは今日の試合だけではなく、もちろん非常に内容も悪くて結果もこういう形であれば、批評は簡単です。けれど、たまにそれが逆転している状態が起きた時、評価が食い違う時、チーム全体の意識の雰囲気、意識のズレが生まれる部分があります。個人的にはそこがどうなるのかと感じています。
コロンビアのような強豪国に対して、いい試合を演じたり、勝つことが増えてきているので、日本が成長しているということになっています。けれど、いい勝負を演じることは以前からあり、今に始まったことではありません。
今言えるのは、自分たちが良い勝負を演じていることに満足するレベルではない。そう自覚していかないと、また同じことを繰り返すだけで、プレー面でも成長できないのではないかと感じています。
まあ……そうですね、選手がどう反応するか分からないですけれど、これだけの相手にこれだけやれたと思っている部分が少しでもあれば、そこは話し合っていきたい。しっかり締めて、負けは負けですし、敗因をしっかり追求して、なあなあにせずしていきたいです」
そろそろみんなでより本質を見つめていかないか──。多くの人が抱いてきた日本代表を取り巻いてきた違和感。柴崎がそのある意味生ぬるいと言える雰囲気に一石を投じた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI