横浜FC「52歳カズ起用プラン」、鍵を握る17歳の斉藤光毅
横浜FCのホープ17歳の斉藤光毅(左)と、Jリーグ最年長の52歳のカズ(右)。(C)AFC・Takamoto TOKUHARA
ホーム出場を念頭に入れた”カズ専用プログラム”発動へ。
[J2 6節] 金沢 – 横浜FC/2019年3月30日/石川県西部緑地公園陸上競技場
横浜FCのカズことFW三浦知良が3月23日のJ2リーグ5節・FC岐阜戦、自身の持つJリーグ最年長出場記録を52歳25日に更新。チームも2-0の快勝を収めて19位から12位へジャンプアップした。J1復帰を目標とするチームは、今回の成功を生かし、状況に応じてカズをホームでの出場に備えさせる「カズ専用プログラム」を発動させる。
今回のFC岐阜戦の出場に向けて、カズは3節のアウェーでの栃木SC戦の遠征に帯同していなかった。4節のアルビレックス新潟戦もメンバー外に。
ただ、カズは試合後、この日の先発に備えるためだったと明かしていた。タヴァレス監督から説明を受けていた。
「(岐阜戦の先発について)ちょっと前にタヴァレス監督からそういう話があり、ベンチから外れることになりました。ベンチに入るだけだと、試合の前日、当日、翌日と、どうしても少し試合に絡むだけでは、僕の場合、体力面のロスが増えるところもあります。
コンスタントに練習をしていかないと、反応も鈍くなってしまう。少しでも練習するほうが大事なこともある。その意味で、残ってホームでの試合のために調整しておいてくれと言われていました。先発かどうかは分からないが、そのように考えている、とは言ってくれました」
特例ではあるが、それもカズを戦力として考えているからこそ。エースストライカーのイバも、コンディションによっては岐阜戦のように「スーパーサブ」としてスタンバイすることも、むしろより大きな効果を発揮することも示せた。すべては長いシーズンを戦い切り、J1の舞台に再び戻るため。
岐阜戦の勝利により、今後もカズがアウェー遠征を回避し、ホームの試合に備え調整を進める機会は増えそうだ。カズは次のように言っていた。
「チームのスタッフをはじめみんなに助けられているところも多いです。前もって情報をくれて、試合に時間を充てられるのは大きく、集中してそこに持っていけました。特別になってしまうかもしれませんが、もしかしたら、これからもアウエーゲームは飛ばして、しっかりプログラムされた練習をして、次の試合に備えるということをしていけば、今日以上の時間、試合に出られるようになる。そのように上手くやっていければと思います」
最近の横浜FCで、FWのスーパーサブ的存在として地位を確立し、主力の座をも狙う存在になってきたのがユース出身の17歳、斉藤光毅だ。彼はU-20日本代表の中心選手。この岐阜戦の時も、U-20日本代表のポーランド・スペイン遠征で不在だった。
斎藤は5月中旬から約1か月間、U-20ワールドカップ(W杯)に参戦する可能性が高まっている。さらに斉藤はU-20W杯後、東京五輪世代のU-22代表チームの活動のため、チームを離れる可能性もある。彼が不在になると、横浜FCでは再びFWのローテーションが必要になり、改めてカズの力が一段と必要とされる。
もちろん他にもFW陣はいて、まずチーム内の競争に勝っていくことが条件にはなる。そのなかで、横浜FCが上位に進出するためには、チーム最年長52歳のカズと最年少17歳の斉藤がそのように関わり合いながら推進力を与えていく形になる。
「あのポジションなのだから勝利のためにもゴールを決めないと。どのように点を取っていくか。そこに固執し、しっかりスポットを当ててやっていきたい」
カズは、試合に出ること=最年長出場記録更新だけを目指してはいない。何よりチームの勝利……そのためにゴールを決める。明確な目標を打ち立てていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI