【湘南×磐田】大久保の秋元への蹴りはイエローカードが出ても仕方なし
湘南対磐田戦。秋元を蹴る形になった大久保には、注意が与えられた。(C)SAKANOWA
試合開始17分という時間も判定に影響。
[J1 6節] 湘南 0-2 磐田/2019年4月6日/Shonan BMWスタジアム平塚
湘南ベルマーレ対ジュビロ磐田戦の17分、ゴール前に浮いたルーズボールに湘南の選手たちが殺到するなか、ボールをGK秋元陽太が懸命にキャッチした。ただしそこで、キャッチされる手前でヒールキックでのシュートを止められた磐田のFW大久保嘉人が、再びボールを押し込もうとしたものの左足で秋元の体を蹴る形になった。
今村義朗主審は秋元へのファウルで、湘南にフリーキックを与えた。しかし大久保にイエローカードは提示されなかった。
このシーンが『DAZN』の「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、イエローカードが妥当ではないか、という点について、日本サッカー協会(JFA)の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが見解を示した。
上川氏は次のように状況を踏まえて説明した。
「ゴール前、攻撃側の選手はどうにかして得点を入れたいので、足はとにかく出していきます。ただ明らかにキャッチしたあと、映像で見る限りは、遅れて(蹴って)います。行為の悪さを見るとイエローカードを出してもいいと言えます」
一方、試合の『温度』などを考えて、イエローカードを出さなかった主審の判断についても理解を示した。
「レフェリーとしては、試合をコントロールしなければいけません。ただ、(プレー全体を)近くで見ていて、(大久保が)強い力で蹴っているわけではなく、そこまで試合が荒れるふうには思わなかったのではないかとも思います」
実際、イエローカード6枚が出たのは多いように感じたものの、試合自体は荒れた様子にはならなかった。そういった試合を読む感覚も、主審には大事になってくるということだ。
また、番組では触れられていなかったが、このシーンでは、GK秋元の下に湘南の選手が下敷きのようになって重なっている。捕球時は秋元の体が浮いた感じになっている。つまり、ピッチの上でしっかりキャッチしている状態とは少し異なる。そのあたりも関係して、大久保へのイエローカードは出さず、ファウルと判断したところはあったかもしれない。ただ、押し寄せる磐田の選手たちを振り切り、思い切ってボールを掴んだ秋元の勇気が何よりたたえられるべきだろう。
文:サカノワ編集グループ