【C大阪×札幌】高木俊幸と”掴み合い”。菅大輝へのイエローカードはいらなかった?
札幌の菅大輝。(C)SAKANOWA
両者ファウルで”流す”という判断も。
[J1 7節] C大阪 0-1 札幌/2019年4月13日/ヤンマースタジアム
セレッソ大阪対北海道コンサドーレ札幌戦の74分、C大阪のGKキム・ジンヒョンのロングフィードが敵陣の背後を突いてチャンスになりかけたところ、ボールをキープしかけた高木俊幸とディフェンスに入った菅大輝が球際で競り合った。すると先に高木が菅の腕を絡める。と、そのあと菅がその絡められた腕で前から高木のユニフォームを引っ張る形になり、二人でもつれた。ここで井上知大主審は笛を吹き、相手を掴んだとして菅にイエローカードを提示したのだ。
そもそも高木のファウルだったのではないか? なぜ菅だけファウルを取られ、イエローカードを出されたのか? そのような判定の疑問について「DAZN」のコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で、日本サッカー協会(JFA)審判委員会副委員長のレイモンド・オリバー氏が解説をした。
「私はフィフティ・フィフティ(両選手ともにボールに対し五分五分)のチャレンジだと見ました。主審としては、何もできない、ということも言えます。なぜならば、両者ともにホールディングを犯しているからです」
そのようにプレーを”流す”という判断を下しても良かったのではないかという見解を示した。そのうえで、「ただ、(高木の)アンダーシャツが見えてしまっています。主審はシャツを引っ張っている選手のほうが、より深刻なファウルをしていると判断したのだと思います」と説明した。
まず高木がファウルをしたように見えるが、素早いカウンターだったため、その瞬間を主審が確認することができなかったのではないかと、オリバー氏は説明。それを確認できていたのであれば、高木の反則を取っていても正しかったという。とはいえ、ビデオで確認しなければ分からないほど難しいシーンだったとも強調した。
「(先にファウルをしたかどうか)それは重要です。おそらく、先にセレッソ大阪の選手(高木)がホールディングをした瞬間、主審は見えていなかったのかもしれません。ビデオで確認すると、やはり最初にファウルをしていたのは攻撃側の選手だったと言えます。主審のところから見るのは難しかったと言えます」
特に副審がいない攻める側から見てのピッチ「左奥」は、審判団にとっての死角と言えて、こうしたファウルを追い切れない事象が起こり得る。世界の潮流として、ゴールに直結するVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)やゴールライン・テクノロジーについての議論が活発であるが、この「死角問題」もサッカー界全体にとっての課題の一つとなっている。
文:サカノワ編集グループ