80mドリブル弾は空砲…川崎の登里享平がその時見た小林悠の何とも言えない表情

川崎の登里享平。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

自陣からゴール前まで運び、「コースが空いたと思ったが、結果、上手く誘われました」。

[J1 8節] 川崎 2-0 湘南/2019年4月19日/等々力陸上競技場

 川崎フロンターレの左サイドバック登里享平が、約80メートルをドリブルで持ち上がりシュートまで持ち込む圧巻のプレーを見せた。が、シュートを放ったものの湘南ベルマーレのDFにブロックされて、残念ながら空砲に終わった。登里は「シュートを打つ時には、ちょっと力が残っていなかった(苦笑)。イメージはできていたんですけれど」と肩を落とした。

 アグレッシブにプレスをかけてくる湘南を相手に、戦術的にもサイドバックの登里がフリーマンになって高いポジションを取って、起点になる役回りを任されていた。チャンスがあれば思い切って湘南ゴールに向かう――という意識を持っていた。 

 そして2-0で迎えた82分だった。自陣でパスを受けて縦にドリブルを開始し、カウンターに持ち込む。登里とともに小林悠も並走して駆け上がり、2対1の状況を作り出した。

「(湘南の選手が)けっこう出てこなかったので、最後のタッチのところでシュートコースが見えました」と、登里はそのまま迷わず持ち込み、少しカットインしてシュートを放った。

「でも……結果的には上手く相手に誘われてしまいました。上手くひっくり返して(相手の背中を取る)、トップスピードのまま2対1にできれば良かったんですけれど。もう1回やり直したいです(苦笑)」

 そのシュートを外したあと、登里はノーマークだった小林のほうをチラッと見た。

「あの時のコバくん(小林悠)の顔が忘れられないです。笑ってはいたんですけれど、何とも言えない感じで……」

 登里は改めて苦笑を浮かべた。

 以前にも登里がボールを持ち運んで、ジュニーニョとともに2対1のカウンターの場面を作り出した。そこで登里はシュートを選択し、ゴールを決めた。しかし登里が歓喜する傍ら、ジュニーニョが何とも言えない表情を浮かべていたという。

「あの時を思い出しました」

 ただ実際のところ、登里はゴールに直結する仕事をすること――そここそが自身の今最も重要な課題だと捉えている。

「ゴールやアシストで結果を残すところが課題。そういうところで、もっと冷静に判断して、ゴールやアシストを記録できないと、そうしなければ試合には出られないと分かっています。だからこそ『結果』で示していきたいです」

 そのように登里は”激走”が報われなかったことを、反省材料に捉えていた。

「この順位にいますが、しっかり強いフロンターレを常に見せつけないといけない」「3点目を取ろうと、オニさん(鬼木監督)は言っていました。畳みかけて3点目を取れれば楽になっていました。その3点目を取れなかったことが、この試合の課題です」

 とはいえ、やはりあの豪胆な攻め上がりのみならず、彼の絶え間ないアップダウンがあってこその、この日の完勝劇と言えた。

 川崎は中3日の23日にホームでアジアチャンピオンズリーグの蔚山現代戦を迎える。さらに28日にはアウェーでのJ1・9節の川崎フロンターレ戦と、ここから連戦に突入する。

 登里がゴールをもたらす日は、きっとそう遠くはないはずだ。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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