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Kリーグ邦本宜裕が崖っ縁人生からの逆襲ゴール「サッカー界に戻れないと思っていた」

決勝点を決めた邦本(手前)。主催者発表のMOMにも選ばれた。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

風紀を乱したとして福岡を契約解除。慶南FCの一員として帰国し、ACLで鹿島相手に一撃!

[ACL GS4節] 鹿島 0-1 慶南/2019年4月24日/カシマサッカースタジアム

「このサッカー人生、まったく想像していませんでした」

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ4節・鹿島アントラーズ対慶南FC(韓国Kリーグ)戦、慶南FCのMF邦本宜裕が決勝ゴールを決めた。

 2017年5月にアビスパ福岡から「クラブの秩序風紀を著しく乱した」という違反行為を理由に契約を解除された。その時点で彼は、一度、サッカーから離れた。もう二度とピッチに立てないかもしれないとも覚悟したという。

「アビスパでいろいろあって、サッカーから離れ、『もう戻れないだろう』と思っていました。その時、韓国のチームから話をいただいて、僕を拾ってもらって。ただ(加入した)昨年の段階でも、そこまで試合に出られるとは思っていなかった。そこからチームもすごく良い成績を収め、ACLの出場権も得られました。

 前からこうした気持ちになっていれば良かったかもしれません。ただ、一生懸命やっていれば、いいことが必ずあると、分からしてくれた時間を与えてくれました。いろいろな支えにも助けられました。ここまでできるとは想像していなかったけれど、このままいい方向に進められるようにやっていきたいです」

 鹿島戦の63分、右サイドからのクロスボールがファーサイドに流れ、そこに飛び込んだ邦本が左足でねじ込んでみせた。チームであり、邦本であり、何か幸運をもたらしてくれるような一撃となった。

「(アビスパ時代をはじめ)もちろん僕のことを悪いと思っている人もいるはずです。そのなかでも応援してくれる方がいることは本当に有難いです。もっと頑張って、いつか日本に戻り、成長した姿、サッカーをしている姿をまた見せたいという気持ちがあります」

 再び日本に戻り、Jリーグでプレーしたいという”目標”も立てる。

「韓国でプレーしているけれど、こうしてACLで日本でゴールを決められて。これを一歩目にしたいです。

 夢は東京五輪に出て、日本代表に行くこと。その夢を叶えるためには、まず、チームで結果を残すことと、その結果に満足せず、毎日謙虚な気持ちを持ってやることが、一番だと思っています。今日は得点という結果を残せて良かったです」

 21歳になり”大人”のサッカー選手になった、はずだ。まず今回、結果が求められた試合で、しっかり結果を残した。

「ここまで来られたのも自分一人の力ではなく、感謝の気持ちを持っています。僕はそんなに頭も良くない。ただ取柄はサッカーしかない。サッカーで応援してくれる方たちに恩返しをしていきたいです」

 邦本が崖っ縁から這い上がる、そのキッカケを掴む逆襲の一撃を叩き込んだ。肝心なのは、ここからだ。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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