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清水の左伴社長が監督交代の声明で補強に言及「後任監督の意向が十分反映できるタイミングで」

清水ヨンソン監督の退任が決定。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

福岡とFC東京での経験を買い、篠田善之コーチの昇格が基本線か。

[J1 11節] 清水 0-4 川崎/2019年5月12日/アイスタ

 清水エスパルスが5月12日、川崎フロンターレに0-4で敗れたあと試合後、ヤン・ヨンソン監督の退任と、篠田善之コーチの監督代行就任を発表した。

 ここ3試合ノーゴールで3連敗。2勝2分7敗、得点11、失点26で17位に低迷――。昨季は2013年以来の一桁順位となる8位に入ったものの、今季は開幕から波に乗れず。ドウグラスが戦列復帰を果たしたもののまだ起爆剤にならず、ついに監督交代に踏み切った。

 監督交代の発表後、クラブ(株式会社エスパルス)の左伴繁雄社長が「ファン・サポーターの皆さまへ(ヨンソン監督の退任について)」と題して、公式ホームページにメッセージを発した。

 篠田氏には「当面は」指揮を任せるとしているが、アビスパ福岡やFC東京でシーズン途中から率いて結果を残している点を評価し、正式に監督に就任することを示唆。一方、「これまでのゲーム及び練習データを十分に吟味し、また後任監督の意向が夏の補強に十分反映できるタイミングとした結果、今般での監督交替に踏み切った」と、夏の移籍マーケット(第2登録期間:2019年7月19日から8月16日)での選手の入れ替えにも言及している。

 左伴社長のコメントの内容は次の通り。

――・――・――・――・――

 日頃よりエスパルスをご支援いただき厚く御礼申し上げます。本日はシーズン途中ではありますが、2018シーズンより指揮を執っていただきましたヤン・ヨンソン監督の退任についてのお知らせをさせていただきます。

 今シーズンは、昨シーズンのリーグ戦一桁順位達成(8位)を足掛かりとして、リーグ戦でのトップ5、カップ戦でのベスト4以上を会社目標と致しました。

 しかしながら現時点で、リーグ戦は2勝2分7敗の17位、カップ戦はグループステージ最終戦を前に敗退が決定致しました。また、重点強化方針として掲げていました「守備力の強化」につきましては、リーグ戦11試合時点で26失点となっており、それらどれもが到底看過できる数値ではありません。

 昨シーズンの成績からさらなる飛躍を期待して今シーズンに臨んだファン、サポーター、そしてパートナー、株主の皆様には心よりお詫びするとともに、まだまだ巻き返しの果たせるこの時期に、監督の交替を行う決断を致しました。

 ヨンソン監督には、2017シーズンの最終戦でやっと残留が叶ったチームの再建を託し、攻守に規律あるサッカーを構築するとともに、若手の育成も行いチームの新陳代謝を進めていただきました。結果、2018シーズンはリーグ戦8位と2013シーズン以来の一桁順位を達成できました。

 その功績は大いに讃えるに十分であり、感謝して止みません。しかしながら、今シーズンの現在までの戦績は、会社コミットにはほど遠く、また改善の兆しが不透明と言わざるを得ず、これまでのゲーム及び練習データを十分に吟味し、また後任監督の意向が夏の補強に十分反映できるタイミングとした結果、今般での監督交替に踏み切った次第です。

 当面の監督業務代行の任にあたるのは、以下の観点より、現コーチである篠田善之氏とし、本人とは早急に交渉を致します。

・シーズン途中であり、選手の特徴やサッカーの課題に対して迅速な改善の図れる現有スタッフである。

・アビスパ福岡やFC東京においてシーズン途中より監督となった経験を持ち、いずれも顕著なる戦績を残している。(前者はJ1昇格、後者は就任後J1で8勝2分2敗と短期間で示した修正力を評価)

・会社目標としていながら対戦相手との比較で必ずしも凌駕できていないハードワーク(球際、走力、気迫)が指導のベースとなっており、それを練習量と方法、強度で実践しつつ、選手起用や交替での第一優先にも置いている。

・「自分達のサッカー」を尊重しつつも、対戦相手のサッカー分析に一日の長があるとともに、それを練習に落とし込むアイデアが豊富である。

・選手との距離が良い意味で近く、個々人に合わせたコーチングとモチベーションアップに長けている。 (当クラブでは貴重な声のよく通る明るいモチベーター)

 また、他スタッフ体制は、シーズン途中での外部招聘はこれまでの積み上げを崩しかねませんので不変とする方向です。

 次節のアウェー大分戦以降は、会社として掲げた方針を再度現場として噛み砕き、相手より運動量に勝り、攻守の切り替えの早い、個人、組織共々、人にもボールにもチャレンジできる、固い守備、迫力ある攻撃を目指して参ります。

 シーズンは残り3分の2となりました。これを「もう」ととるのか、「まだ」ととるのか、人により異なるとは思いますが、私は昨シーズンや2016シーズンのように、「ハマるまでは時間を要すが、ハマれば手がつけられない」バランスのとれた若手、中堅、ベテランが夫々の強みを活かした闘いを行うと信じて、そして皆様のこれまでと変わらぬ日本一の応援が伴えば、反攻の狼煙を上げるに足る十分な期間とコミット致します。

 でなければ、皆様の懐を痛める値上げまでさせていただいたことに対する示しがつかないことは重々承知しております。その責任を真摯に受け止めながら、残りシーズンの後はないとの決意で闘って参ります。

株式会社エスパルス 代表取締役社長
左伴 繁雄

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