【浦和×湘南】世紀の大誤審に曺貴裁監督が答えた「逆の立場だったら?」
浦和戦で逆転勝利を収めたあと、古林将太と抱き合う曺監督。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
しばらく考えたあと切り出す。「スポーツはフェアプレーの上で成り立っているが――」
[J1 12節] 浦和 2-3 湘南/2019年5月17日/埼玉スタジアム2〇〇2
大誤審を経ての2点差をひっくり返す大逆転劇――。湘南ベルマーレの曺貴裁監督は試合後の記者会見で、このような質問を受けた。
「まずは審判の不手際といえるミスジャッジが責められるべき。ただ、あえて伺いたい。逆の立場だった場合、例えば、GKにゴールを認めることを求めることは酷だと思いますか?」
曺監督はしばらく考え込んだ。そんなことは分からない、と言えばそれも正解のシチュエーションである。
しかし、指揮官は次のように答えた。
「スポーツは基本的にフェアプレーの上で成り立っていますが、そんなきれいごとだけではなくところも、フェアプレーの範疇で必要だと分かっているつもりです。僕は浦和レッズさんの監督ではないので、彼らの反応には言及すべき立場にないと思っています」
あくまでも審判のミス。浦和に非はない。そう前置きしたうえで、次のように続けた。
「ただ、湘南の選手にもしそういうことが起きた場合、選手が『ゴールインでした』という顔をしていたら、もしかしたら次のプレーでキックオフゴールを与えるくらいのことを指示したかもしれないです。ただ、自信はないです。分からないです」
「この前、フランスのリーグで、リーズが昇格を争っていた試合で、ボールを出すふりをして得点して抗議されたあと、ビエルサが1点をプレゼントするシーンがありました。そのことをちょっと思い出しました。ただ、当たっている、間違っている、というのは、これにはないと思います」
いったい、何が正解だったのか。曺監督も分からないと強調した。
「浦和の選手が早くプレーを始めようという気持ちも分かります。レフェリーが判定するものなので、レフェリーがノーゴールと言えば彼らはそのまま進むべきです。それは良かったとも、悪かったとも思っていないです。自分に当てはめて言うと、そうしたかもしれないという話です」
もちろん、そういったゴールのプレゼントが”当たり前”になってくると、今度はサッカーくじ「toto」などの問題も絡んでくる。
審判がゴールを見逃す……。あり得ないミスが起きた時、どう対応すべきなのか。そこに、マナーのようなものを果たして持ち込むべきなのか。議論は尽きない。
文:サカノワ編集グループ