【FC東京×大分】古巣対決に人一倍燃えた東慶悟。足を攣り今季初の途中交代に「情けないですね」と苦笑い
勝利のユルネバを歌う東慶悟。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
開幕からのフル出場はストップ。しかし「東京の10番」がまた一つ突き抜ける1勝を掴む。
[J1 14節] FC東京 3-1 大分/2019年6月1日/味の素スタジアム
FC東京のMF東慶悟が古巣の大分トリニータとの初対決で、4-4-2の左MFとしてチームのバランスを保ちながら存在感を示し、快勝に導いた。
「連敗だけはしてはいけなかったので勝てて良かった。相手が後ろからしっかり組み立ててくるので、1失点したものの簡単にパスを回させないようにと、そこを90分間通して集中してできました」
そのように大分の対策を練ったうえでの勝点3獲得に頷いた。一時は1点差に迫られて猛攻を食らったが、そんな大分の底力を感じ取れたことも、大きな刺激になった。
気温28.8度という暑さのなか、大分の選手たちに負けずハードワークを続けたことも影響。大分の猛攻を受けていた試合終盤の87分、足が攣って途中交代を余儀なくされた。
「情けないですね」
東は苦笑いを浮かべた。
「90分間やるつもりでしたけれど持たなくて……チームに申し訳なく思いました。ただ、90分持たせるためにやっているのではなく、最初から全力でやっています。それはもちろん今日だけではないです。でも、今度は攣らないようにしっかり準備したいと思います」
やはり待ち焦がれた大分とのJ1での対戦とあって、知らないうちに、力も入っていたのだろう。東は”後輩たち”の挑戦を嬉しくも感じていた。
「何より(上位対決ということで)チームとして絶対に負けたくない気持ちもありました。それに、これまで面識はなかったけれどユースの後輩たちが相手チームにいて。ユースを含めて5年間お世話になった古巣のチームなので、成長した姿を見せたかった。勝利という形で示せて良かったです」
東は嬉しそうに笑った。
2009年のルーキーイヤーにJ1デビューを果たしたもののJ2に降格し、2010年を最後に20歳で大分を旅立った。そして大宮アルディージャで2年、FC東京で7年目――。
28歳で迎えた今季はFC東京のキャプテンとして、チームに不可欠な存在となっている。
この日、先制点を奪ったあと、ディエゴ・オリヴェイラを呼び寄せて、ゲキを飛ばすシーンがあった。
「ちょっとミスがあったので。もちろんディエゴにも考えがあると思ったので、(呼んで)そこで話をしました。しっかりコミュニケーションを取って、勝つためにどんどんいろいろ言い合っていければと思います」
首位FC東京と2位川崎フロンターレの勝点差は「7」に広がった。古巣の大分との一戦。開幕から続いたフル出場は13試合でストップした。それでも東にとっては、また一つ何か確実に突き抜ける、価値ある1勝になった。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI