【日本代表】元浦和ミシャの3バックを知る原口元気の活用法
日本代表の原口元気。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
5日はウィングバックで起用。浦和時代はシャドーを主戦場に、CFでもプレー。
[キリンチャレンジカップ] 日本 – エルサルバドル/2019年6月9日/ひとめぼれスタジアム宮城
日本代表のMF原口元気はトリニダード・トバゴ戦、79分に長友佑都と交代出場し、最後の5枚目のカードで”切り札”として投入された。縦に突き抜けるドリブル突破から何度かチャンスを作り出したものの、そこからの展開が手詰まり、結局、求められたゴールをもたらすことはできなかった。
今回初めて採用された3-4-2-1(3-4-3)は、原口が在籍していた浦和時代、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(愛称ミシャ、現・北海道コンサドーレ札幌)のもとでプレーして特長を引き出し、ドイツへの移籍のチャンスを掴んだシステムでもある。
原口はシャドーを主戦場に、一時期はセンターフォワードでもプレーしていた。ただ今回の日本代表でプレーしたウィングバックは、練習試合でチャレンジしたことはあったが、Jリーグの実戦ではオプションとして何度か取り組んだ程度だった。
原口は森保監督の起用意図を汲み取り、「目線を変えたかった」という。日本はそれまで全体的にドリブルを中心とした個々の仕掛けから崩そうとしていたが、そのアタックにトリニダード・トバゴの守備陣も慣れてきていた。その日本の攻撃のパターンに変化を加え、自分たちのみならず、相手の守備の”目線”も変えたかったという。
「ミシャの時にシャドーではあったけれど3バックはやっていたから、イメージしやすかった。ただ、 縦に行っても、中(中央で構えている相手センターバック陣)がある程度大きかったので、どちらかというと目線を変えたかった」
ところが最優先する選択肢の「縦」が空いていたため、そのドリブル突破を狙っていった。
「行けそうだから行っちゃう形で、でもそれはけっこう力技だった。相手を振り切れても、中で合うかどうかが分からなかった。
点を取りにいかないと行けないけど、あえて時間を上手く使いながら、目線を変えて、例えば自分から(室屋)成にフワっとパスを出した。ああいったキックを逆にほしかった。それをイメージしていたけれど、けっこう良いテンポでパスが回ってくるから、『(縦に)行く』という選択肢になってしまった。
もちろん、それは悪くはないけれど……。90分出ていれば、いろいろなやり方ができるとは思いました」
このシステムのウイングバックは、基本的には「技術が高くハードワークできるDF」がフィットする。もちろん、今回のように、変化をつけたい時は原口のようなドリブラータイプも効果がありそうではあったが。
ただ、浦和時代の原口を知る者からすると、まず3バックを機能させたいのであれば、シャドーや、思い切ってセンターフォワードのほうが、より効果があったのではないかとも感じた。もちろん、2列目のタレントが豊富であるからこその起用でもあったが、得点は奪いきれなかった。
9日はエルサルバドル戦。果たして原口の先発はあるのか? ポジションはどこか? 森保ジャパンの3バック”黎明期”には、非常に有用なタレントであると思うが、果たして――。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI