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【長崎】町田戦2得点の呉屋大翔が笑わなかった理由とは?

6試合連続ゴールを決めた「長崎のバットマン」呉屋大翔。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

スーパーボレーを突き刺し13試合10得点と圧巻のパフォーマンスだが…。

[J2 18節] 町田 2-2 長崎/2019年6月16日/町田市立陸上競技場

 V・ファーレン長崎のFW呉屋大翔がFC町田ゼルビア戦、圧巻の2ゴールを奪いリーグ二桁得点(10ゴール)に乗せた。実に6試合連続ゴール。しかし試合は、町田に後半2点を返されて2-2の引き分けに終わってしまった。呉屋は2得点よりも「勝つゴールを奪えなかったことのほうが大きい」と唇を噛んだ。

 先制点は13分。敵陣でのボール奪取からショートカウンターを発動。自ら持ち込んだ呉屋が冷静に右足でシュートを沈めた。

 そしてスタジアムにどよめきを起こしたのが、前半アディショナルタイムだった。右サイドからの角田誠の鋭いクロスをペナルティエリアの手前でトラップ。体を反転させて右足を振り抜き、目の覚めるようなボレーをねじ込み、チームに2点目をもたらした。

 前節に鼻骨の粉砕骨折を負ったが、フェイスガードをつけ「長崎のバットマン」として登場。「気にはなりましたけれど、練習からつけていたので準備はできていました」と、その影響を感じさせず、リーグ6戦連続のゴールをねじ込んだ。

「(角田誠のアーリークロスに)裏は取れなかったですけれど、早く(パスを)つけてくれたので、上手く修正して『とにかく打っちゃえ』という感じで打ちました。感触は良かったです」

 ただ、同点に終わったため試合後、呉屋本人に笑顔はなかった。

「後半もう1点取れるチャンスがあり、それを決めていれば勝てました。(2ゴールよりも)それを外してしまったことのほうが印象に残っています」

 そのように後半開始早々の抜け出したチャンス、そして2-2で迎えた試合終了間際にGKと1対1になりかけてゴールを決めきれなかったシーンを悔やんだ。

 まさに乗っている男らしい豪快な一撃だった。それでも二桁ゴールを奪えたことよりも、勝てなかった――そのことを悔やんでいた。

「2点取ったことよりも、3点目を取れなかったことのほうが大きい。3点目を取れるように、まだまだ練習していきたいです」

 13試合10得点という圧巻のパフォーマンス。しかし、フェイスガードを外した呉屋に、笑顔はなかった。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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