【川崎】復帰の中村憲剛が得た高揚感と安堵「いつもと同じ景色があった」
川崎の中村憲剛。(C)SAKANOWA
天皇杯の明治大戦で約30分間プレー。「1か月半も休んだのは初めてだから」
[天皇杯 2回戦] 川崎 1-0 明治大/2019年7月3日/等々力陸上競技場
川崎フロンターレのMF中村憲剛が天皇杯2回戦の明治大学戦、5月17日のJ1・12節名古屋グランパス戦(△1-1)以来となる公式戦出場を果たし、後半途中からアディショナルタイムを含め約30分間プレーした。
今季はケガに苦しみながら、公式戦10試合出場(リーグ9試合、ACL1試合)にとどまっていたが、ここで復活――ホームのピッチに立つチャンスを得た。
1-0で迎えた62分、川崎の背番号14がレアンドロ・ダミアンと代わって投入される。知念慶、齋藤学、阿部浩之らの特長を引き出しながら、自らも1.5列目の位置からゴールをうかがった。
「向こう(明治大)は頑張れる条件が揃っていました。そこで何ができるのか。自分が顔を出して、ボールを受けて、時間を作って、相手を押し込むことが役割だと思って入りました。もちろんゴールも狙って。半分できて、半分できなかった、そんな感じがします。まずはプレーできたことが一番。リバウンドがないことを祈ります」
そのように中村は”復帰戦”を振り返った。
大学生との一戦。とはいえ38歳のバンディエラにとっても、「高揚感はありました」という。
「1か月半休んだことなんてないから。正直、(パフォーマンスは)こんなものかなという感じがします。もちろん、もっとやれたと思いますけれど、今日やれることはできたのかなと思います。張り切りすぎると良くないから。少し味方に迷惑をかけたけれど……。ただオニさん(鬼木監督)が試合に出してくれた以上、しっかりやらないといけない」
一方、違和感なく、すんなり試合に入ることはできた。
「最近は(スタンドの)上からしか見ていなかった。けれど、やはりずっとやっていたから、やりにくさは感じませんでした。17年ですからね。いつもと同じ景色が広がっていたから、良かったです」
中村はそのように「いつもの風景」のなかに溶け込めたと言った。
結果はオウンゴールによる1-0。平日のナイターに訪れてくれた観客に、もっといいプレーを見せたかったとも思う。が、明治大の猛烈なモチベーションも感じ取っていた。
「この大会の初戦は本当に難しい。今回は中2日、今週末にはJリーグもありメンバーを変えないといけない。向こうは準備万端で、モチベーションもマックス。17年間やって来て、この初戦はいつも簡単ではなかった。学生は失うものはないから。
ただ、僕らはどんな相手であっても、そのなかで『どうやって勝つのだろうか』という期待に応え、勝ってきたチームでもある。その意味では物足りないところは多々あったと思いますが、今日は勝ったことがすべてだったと思います。そのなかで30分やれて、自分にとっては先へ進むことができました」
中村はここからだ、と前を向いた。
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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI