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ドイツ紙が香川のサラゴサ移籍で「小さな気掛かり」

シャルケの内田篤人と競り合うドルトムントの香川真司。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

ドルトムントでの「選手をつなぐ役割をしていた」というスタンスを評価。

 ドルトムントの地元紙『ルール・ナッハリヒテン』は8月9日、ボルシア・ドルトムントが保有権を持っていた日本代表MF香川真司のスペイン2部レアル・サラゴサへの完全移籍が決定したことを受けて、「BVBで愛されたシンジがレアル・サラゴサに移籍。しかし小さなトゲ(気掛かり)がそこにはある」という記事を掲載した。

 記事では香川のこれまでのチームへの貢献を改めて称え、2010年と2014年、二度の香川獲得に携わったミヒャエル・ツォルク・スポーツダイレクターの「シンジはまさにボルシアのアイドル。チームに数多くのタイトルをもたらし、チームのために貢献してきた。プロフェッショナルとしての模範であり、常にドルトムントを二番目の故郷にしていて数多くの友人もいる」というコメントを掲載している。

 そして世代交代を推し進めるとともにダイナミズムと緻密さを求める昨季就任したリュシアン・ファーヴル監督のもとではチャンスを得られず、そのなかで「長い間の夢でもあったスペインでのプレーをサラゴサで実現させた」。

 そして同紙は「小さなことだが引っかかること」として、サラゴサ移籍による次の点を指摘する。

「伝統的ではあるが2部リーグであること。それに2014年には深刻な経営危機に陥ったことがある」

 2部リーグ降格後に多額の負債によりクラブ消滅のピンチを迎えた。しかしその後、クラブを運営するための財団を設立するなどして、状況を乗り越えようとしてきた。つまり、決して潤沢な資金はないということについて、香川の能力の高さを踏まえ懸念を示していた。

 そして記事の最後では、ドルトムントのチームマネジャーが話していたエピソードを紹介。「(さまざまな選手が集まるなかで)シンジはみんなをつなぎ合わせるような役割を担ってきた。それだけに、(U-23での練習参加など)彼にとってはとても厳しいシチュエーションだったと思う」という、チーム内での”役割”にも触れていた。そのうえで、「ドルトムントでの冒険の章を終えて別れを告げた」と締めくくっている。

 2010-11年からのリーグ連覇、11-12シーズンの二冠、そして復帰後の2016-17シーズンのDFBポカール獲得。そういった貢献度もあり、今回クラブも移籍の条件を緩和し、基本的に香川に選択を任せてきたという。

 多くのドルトムントサポーターが、香川のサラゴサでの活躍を祈っている。将来、どのような形でシンジが日本とドルトムントの”つなぎ役”として携わっていくかも楽しみにしたいところだ。

[文:サカノワ編集グループ]

Topics:Shinji KAGAWA of Borussia Dortmund transfers to Real Zaragoza.Dortmund’s reaction.

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