【FC東京×仙台】GKクバのPKやり直し、「旧ルール」でもアウト
FC東京のディエゴ・オリヴェイラ。写真:上岸卓志/(C)Takashi UEGISHI
GK泣かせなのは確か。
[J1 22節] FC東京 1-0 仙台/2019年8月10日/味の素スタジアム
FC東京のFWディエゴ・オリヴェイラがベガルタ仙台戦、62分にやり直しのPKを決めて、ホームチームが1-0の勝利を収めた。勝点を48に伸ばしたFC東京は、首位をガッチリとキープしている。
そのPKやり直しのシーンが、議論を呼んでいる。
国際サッカー評議会(IFAB)の定めた2019-2020シーズンの競技規則変更に伴い、8月からJリーグでもPKの「新ルール」が採用されている。ただ今回、「新ルール」が適用されたのはイエローカードが提示された部分。”クバ”ことヤクブ・スウォビィクのPKストップは、「旧ルール」であっても”PKやり直し”の対象だった。
ディエゴ・オリヴェイラが短い助走の間に踊るようなステップを織り交ぜ、ゴールキーパーのタイミングを外す。この「ダンシング・フェイント」で、今季も松本山雅戦などで得点を決めてきた。
今回GKヤクブ・スウォビィクはディエゴ・オリヴェイラとの駆け引きで、自らのタイミングに持ち込もうと細かいステップを踏んでいる。
が、ディエゴ・オリヴェイラがキックを放つ瞬間、両足がラインから離れて前へ出てしまっていた。これを副審が確認し、フラッグを上げたのだ。
改めてIFABが通達した新シーズンの競技規則を確認したい。
新ルールでは、PKが蹴られる瞬間、GKはこれまでの両足から、左右どちらかの足をライン上に置いておけば良いように定められた。
日本サッカー協会(JFA)の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーは8月6日に更新したDAZNの「Jリーグジャッジリプレイ」で、次のように説明していた。
「ラインの前に出るのはもちろん、後ろにいてもいけない。ライン上にどちらかの足を置いていなかった場合、PKが決まった場合はそのままゴールが認められるが、もしもGKが止めた場合には反則となりキックがやり直され、イエローカードが与えられる」
今回VTRで確認しても、ディエゴ・オリヴェイラがPKを蹴る瞬間、ヤクブ・スウォビィクの両足が完全にラインの前へ出てしまっている。つまり「旧ルール」であっても、やり直しの対象だったことになる。
イエローカードの対象にもなるが、すでに各国で、これではGKに厳しすぎると議論を呼んでいる。先のフランス女子ワールドカップ(W杯)では、決勝トーナメント突入後のPK戦では、GKが退場になるリスクがあまりに高すぎるということで、このキックやり直しによるイエローカードを”一時廃止”すると急遽ルール変更していた。
確かに例えばGKがPKのキッカーにタイミングを外され(今回のディエゴ・オリヴェイラのように)、そこから態勢を立て直してPKを止めたとしても――。両足がキックの瞬間にラインから離れていれば、PKはやり直しでイエローカードの対象にもなる、という状況はGK泣かせでしかないと言えそうだが……。
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[文:サカノワ編集グループ]