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なぜ?相手を押した谷口が退場で、和泉はお咎めなし。判定が「妥当」だった理由とは

川崎の谷口彰悟。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

名古屋対川崎戦、谷口は結果的に「相手を押すために20メートル後方から来た」という”事実”を問題視。

 J1リーグ22節の名古屋グランパス対川崎フロンターレ戦(〇3-0)の80分、川崎の齋藤学と名古屋の選手が接触プレーを起こした際、名古屋の吉田豊がそこに割って入り齋藤とやり合った。すると、そこに加わった川崎の谷口彰悟が吉田の胸を両手で突くと、その行為に笠原寛貴主審はイエローカードを提示。これがこの日2度目の警告となり、谷口は退場処分となったのだ。

 ただ89分、同じようにもみ合った際、今度は名古屋の和泉竜司が同じように相手選手の胸を突いたが、こちらにイエローカードは出なかった。

 なぜ、谷口は警告で、和泉にはカードが出されなかったのか? その判定について、日本サッカー協会(JFA)審判委員会副委員長のレイモンド・オリバー氏が『DAZN』の「Jリーグジャッジリプレイ」で解説をした。

 オリバー氏は両者の判定について妥当だっという見解を示した。

 谷口は結果的に”相手の胸を突くために20メートルほど後方から来た”と言える行為をしてしまったからだ。

「これは退場になってしかるべき行為で、2枚目のイエローカードは妥当だったと言えます。両手で相手の胸を突いた、攻撃的な態度でした。

 もちろん、サッカーはとても情熱的なゲームです。0-3で負けていてイライラも募っていたでしょう。しかしなぜ、遠くにいた20メートルほど後ろから走ってきて、相手を押したのか。それを見てしまったら、主審は2枚目のイエローカードを出さざるを得なくなってしまいます。関係のないもう一人の選手が入ってきて熱くなる必要はなかったと思います。谷口選手も冷静になると、やってしまって後悔しているのではないでしょうか」

 そのようにオリバー氏は解説。「駆け寄ってきて、選手に対し、攻撃的な態度をとっているという事実があります。谷口選手がファウルの起きた近くにいたのであれば、判定は変わったかもしれません。しかしずっと後方から来て、その行為に及んでいるのは事実です」と、その『事実』の重さを強調した。

 そういった視点で、89分のシーンは「和泉選手たちは実際にやり合っているなかの選手でした。これにイエローカードであれば厳しいのではないでしょうか。試合も終了間近なので、主審は試合を管理することも大切になっていた時間帯でした」と解説をした。つまり似た行為でも、そこに至る過程が異なれば、警告かそうでないかなど、判定は異なってくるということだ。

 責任感の強い谷口だが、教訓にもなるシーンになったのではないだろうか。もちろん、今日のアウェーでのリーグ23節・ベガルタ仙台戦で(ジェジエウも)出場停止になるのは痛いが……。

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[文:サカノワ編集グループ]

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