田川亨介が決めた待望の一発。FC東京リーグ優勝への条件は――
FC東京の田川亨介。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ルヴァンカップのG大阪戦、髙萩、D・オリヴェイラとの連係から左足で一閃!
[J1 26節] 鹿島 – FC東京/2019年9月14日19:00/カシマサッカースタジアム
FC東京のFW田川亨介が9月9日のルヴァンカップ準々決勝・G大阪との第2戦(セカンドレグ)、2試合トータルスコアで一時2-1と逆転する、待望の新天地初ゴールを叩き込んだ。しかし――その後のパトリックにゴールを決められ、この試合は勝利(2-1)したものの、2戦トータル2-2に。アウェーゴールルールにより、ベスト4進出を逃した。
試合後、田川は次のように語って肩を落とした。
「守り切りたかったですし、1点取られてからも、みんな諦めていなかった。1点取れたことは、自分にとって大きかったです。ただ、勝ち上がれなかったことは本当に残念です」
FC東京が1-0とリードして迎えた67分、髙萩洋次郎の縦へのフィードからディエゴ・オリヴェイラのポストプレーからの落としを受けると、背番号27は敵陣の背後のスペースを突き、左足でシュートをねじ伏せた。
田川のパワーとスピード、そして度胸の良さ。そういった20歳の彼の持ち味が凝縮された、会心の一撃だった。
「練習からしてきた形。落ち着いて決めることができました」
ようやく決めた、FC東京に加入してからの公式戦初ゴール(FC東京U23ではJ3で1ゴールを記録)。勝負どころで見事に決めてみせたが……、しかし準決勝に進むことはできなかった。
「仕方ない、と言いますか、点を取られても、みんな全然士気が下がることなく、『まだ行ける』と最後まで攻めて、そういったところを見せられたのはすごくポジティブなことだと受け止めています。僕らにはリーグ戦があるので、それに向けて、また準備をして、この負けをマイナスではなく、プラスにできるように生かしていきたいです」
そのように田川はこの敗退を真摯に受け止め、あとは初のリーグ優勝へ邁進する――そう決意を示した。
「これまでチャンスはたくさんあったので、1点決めることができて、少しほっとしているところはあります。あと残すのはリーグ戦のみ。リーグ戦でしっかり、チームのために点を取ることを意識したいです」
サガン鳥栖U-18からトップチームに昇格した2017シーズンのルーキーイヤーにブレイクを果たし、1年目にリーグ4ゴールを記録。しかし金崎夢生やフェルナンド・トーレスの加入した昨季は2ゴールに甘んじた。するとプロ3シーズン目の今季、意を決してFC東京に完全移籍での加入を果たした。
「シーズン序盤は、せっかく使ってもらいながら結果を残せず、ずっとモヤモヤしていました」
ポーランドU-20ワールドカップ(W杯)への参戦など、世代別代表チームの活動もあった。ただ、やはり何かが物足りない。選手層の厚いFC東京では、なかなかチャンスを掴み切れずにいた。
そして今回、何よりその特長をチームに還元して決めてみせた。そこに”1ゴール”以上の価値があると言えるだろう。FC東京にとっても、大きな一撃だ。
次はリーグ戦でのFC東京初ゴールだ。永井謙佑、ディエゴ・オリヴェイラ、ジャエル……彼らが不在でも田川がいる――そんな存在になることが、FC東京のリーグ優勝への条件になる。
今週末の9月14日、リーグ首位のFC東京がアウェーの地で、2位の鹿島アントラーズとの大一番に臨む。
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[取材・文:塚越始]