【天皇杯】札幌、徳島、浦和撃破。Honda FCの「ジャイキリ美学」はただ勝つだけではない
Honda FCの井幡博康監督。(C)SAKANOWA
井幡監督「まだ腰が引けていた」
[天皇杯 4回戦] 浦和 0-2 Honda FC /2019年9月25日/埼玉スタジアム2〇〇2
天皇杯4回戦、JFL(日本フットボールリーグ)のHonda FCが前回覇者のJ1・浦和レッズから2-0の会心の勝利を収めた。これで同大会、北海道コンサドーレ札幌、徳島ヴォルティス、そして浦和とJリーグ勢3チームを撃破。ただ、Honda FCの井幡博康監督は「まだ腰が引けていた」と振り返るとともに、下位カテゴリーが上位カテゴリーのチームを倒す「ジャイアントキリング」に対する自身のスタンスも語った。
井幡監督は試合後の記者会見で、次のように試合を振り返った。
「我々のチームが素晴らしい内容だけでなく、どんな相手にも勝つという意識を持ち、力強く戦ってくれたことが結果につながったと思います。おごることなく、しっかり次の試合に臨みたいと思います」
「腰がひけてしまうと、後ろに枚数がかかる守備になってしまうので、2シャドーに対してはスライドしながら積極的に守備をすることを後半修正できたところは良かったと思います。最後の15分でパワーを出せたところも、普段のトレーニングの成果が出たと思います」
そのように勝利を喜ぶ一方、本来の力を発揮し切れなかったとも語った。
「自分から見ていて感じたのは、まだ腰が引けていた、と。こうした大きな舞台に慣れていないことは、もちろんあります。そこで相手をリスペクトしすぎているところは、日頃のトレーニングで見ている自分からすると、まだまだだと感じました。
何のためにトレーニングをしているかと言うと、やはりチャンピオンになりたいから。カテゴリーが異なっても、メンタル面が大きく影響するスポーツ。そのなかで、いつ何をしないといけないかということを理解し、選手は取り組んでいます。今日のボールを止める、蹴る、立つポイント、相手をずらすポイントは、まだ50、60パーセントのところでした」
「Jリーグのチームと対戦とできるモチベーションが高すぎてしまうと、こうしたミスが起きてしまうのかなと感じています。それを『アマチュアのクラブだからできない』と言われれば、そうではないと思っています。しっかり規律があるなか、プレーに対してどういった意図があるのか、選手がしっかり理解してできれば、Jリーグクラブとの差は埋まっていくのではないかと感じて、トレーニングをしています」
そして、ただ勝つだけではない、というジャイアントキリングへの美学も口にした。
「昨年、鹿島にやられていますので(2回戦/●1-6)、アマチュアであっても二回は負けたくないと思っています。そのなかで、下のカテゴリーのチームがJクラブを倒すためには、ブロックを引いて一発カウンターから事故のような得点で勝ってしまう、と、それで賞賛されるようなチームであっても、あまり面白くないと感じています。また一つチャレンジしたいと思います」
井幡監督は名古屋グランパスとジェフユナイテッド市原・千葉でプレーした経験がある。ただ勝利=ジャイアントキリングを狙っているのではない。日頃から技術とスタイルを研磨し、それを最大限に発揮して、勝利を掴み取る。そういったスタンスを貫くという。
Honda FCはJFL3連覇中。現在も2位のFC今治に勝点8差をつける勝点49で首位を走っている。天皇杯の準々決勝は10月23日水曜日、昨季アジア王者の鹿島に挑む。
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[取材・文:塚越 始]