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【日本代表】森保監督「戦術的に後手踏んでいない」発言の真意を読み解く

日韓戦で先発した鈴木武蔵。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

試合後の記者会見で、その前後から浮かぶ「強度」の要求。

[E-1選手権] 日本 0–1 韓国/2019年12月14日19:30/釜山アジアド主競技場(韓国)

 東アジアE-1選手権の最終第3戦、日本代表はホームの韓国代表に0-1で敗れ、2勝1敗で3チーム中2位に終わった。韓国が優勝、香港代表が3位。

 この試合後、日本の森保一監督が公式記者会見で「戦術的に後手を踏んだとは思っていません」と語ったコメントがクローズアップされた。一体、どういったことを伝えたかったのか。その発言の前後も踏まえると、その真意が見えてくる。

――立ち上がりは日本の両ウイングバックが押し込まれ、前へ行けなかった。ただ韓国代表の両サイドのプレッシングは予想できたのではないか。また、修正しようとしなかったのか。

 そのように質問を受けた森保監督は、次のように答えた。

「韓国のスカウティング、分析に関しては、試合前日に映像を使ってミーティングを行い、特長を掴んで攻守につなげていくこと、さらにトレーニングの中でも確認し、この試合に臨みました」

 そして、あのフレーズが出る。

「そういったなか、戦術的に後手を踏んだとは思っていません」

 そこには、さまざまな分析を行ってきたこと――スカウティングスタッフへの配慮が感じられる。そして指揮官は続ける。

「選手たちも個々のケアをして対応するなか、タイミングが遅れたり、強度の部分で足りなかったりという局面のところで、相手に上回られてしまったのではないかと思っています。

 選手たちがこの強度のなかで打ち勝っていき、それぞれの持っている技術を生かしていけるようにというところ、強さのところと技術を兼ね備えていなければ、この国際大会では勝てない。そういったことを、この大会の経験を生かし、次の成長につなげてもらいたいと思っています」

 そのうえで、森保監督自身の責任についても触れた。

「選手ができなかったということは、私の伝え方の部分で、監督としていけなかったことがあり、この試合を踏まえ、日本代表としてさらにいい戦いができるようにしたいと思います」

 つまり、指揮官としては、戦術などを語る前に、強度=インテンシティが足りていなかった――という指摘だった。

 とはいえ、本当に「強度」だけが勝敗の分かれ目だったのか。そこで後手を踏めば、試合に勝つことはできないのか。本来、そういった相手との力関係で足りないところを補うのが戦術的な役割ではないか。そういった疑問も浮かぶ。

 いずれにせよ、フル代表としては、2年前の同大会に続き、韓国代表に敗れた。前回は1-4だったが、今回は0-1。本来のA代表とは言えないメンバーではあったが、勝利やゴールへの気概が伝わってこなかった。

 プライドを懸けた日韓戦である。選手のそういった(今回であれば強度など)課題や問題点を炙り出すことをテーマにしてもいいかもしれない。ただやはり、勝負事だ。いかにして勝つのか、タイトルを獲得するのか。そのあたりにも、こうした貴重な真剣勝負の舞台だからこそ、徹底的にこだわってもよかったのではないだろうか。「成長」という言葉を使いすぎると、どうしても試合前の段階で勝敗を度外視しているように受け止められかねない。

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[文:サカノワ編集グループ]

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