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【U-23日本代表】VARの功罪、悲喜こもごも。「PK」はむしろ救われた?

日本代表の森保一監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

タイU-23アジア選手権は全試合でVAR採用。倒れ込むサウジアラビアの選手が相次いだが…。

[タイU-23アジア選手権 GS1節] 日本 1-2 サウジアラビア /2020年1月9日/タマサート・スタジアム

 タイU-23アジア選手権では、ビデオ・アシスタント・レフェリー( VAR )が全試合で採用されている。そこでグループステージ初戦から、さっそく波紋を広げている。U-23日本代表対U-23サウジアラビア代表戦でも、主審がビデオをチェックする「オンフィールドレビュー(OFR)」を選択。そして決勝点につながるPKが、サウジアラビアに与えられた。

 1-1で迎えた85分、古賀太陽のバックパスが相手に奪われる。すると目測を誤ったリベロの岡崎慎とGK大迫敬介の2人がこの選手を追う。

 大迫はシュートコースを防いだ。しかし、サウジアラビアの選手が転倒する。と、主審はすぐさま日本のファウルによりPKを宣告した。

 ただ主審はすぐ周囲の選手たちに、耳に手を当てて「VARに確認をとる」と伝えている。主審からはサウジアラビアの選手が何かしらの接触で倒れたように見えた。が、シミュレーションの可能性も少なからずあったということだろう。

 すると、おそらくVARからの勧めで、主審はOFRへ。主審はGK大迫のファウルの可能性を感じていたが、VARからは岡崎の反則ではないかと説明があったと思われる。

 VTRで繰り返された問題のシーンでは、実際、岡崎がサウジアラビアの選手の踏み込んだ右足を踏んでいることが明らかになる。そして主審は改めてPKを宣告するとともに、岡崎にイエローカードを提示した。

 主審はOFRで、DOGSO(ドグソ=決定機阻止)の条件を満たすかどうかまで確認していたことが分かる。

 今回はGK大迫がカバーに入っていること――などから、決定機阻止とは言えず、レッドカードではなく、イエローカードにとどめた。とはいえ、主審によっては岡崎を一発退場にしていてもおかしくはなかった。その意味では、岡崎は救われたと言えた。

 結果的に、VARが介入したことで、より正当なジャッジが下されたシーンでもあった。

 一方、サウジアラビアの選手は日本のゴール前でちょっとした接触があるとすぐに倒れ、その度に主審はVARと交信をしていた。

 そのようにVARへの確認が連発され、試合の流れがブツ切りになる展開が続いたのも事実。あわよくばファウルでPKをもらおう、という意図を持つ選手もいた感じだ。一方、主審も万が一のファウルがを見逃してはいけないため、慎重を期して得点にかかわる場面では、VARと綿密と連絡をとっていた。

 VARの採用により試合の中断が増えた。一旦、小休止を挟むメリットとともに、その都度集中力が切れるというデメリットも生じていた。

 結果、日本は敗戦――。VARの功罪が詰まった90分間だったと言えた。

◆U-23日本代表の日程◆
◇グループステージ◇
1月9日(木) 日本(●1-2)サウジアラビア
1月12日(日)日本×シリア
1月15日(水)日本×カタール

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[文:サカノワ編集グループ]

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