セナの悲劇当日、ザーゴがダービーで感情を爆発させた。柏で見せた二面性。そして鹿島の監督へ
鈴木満強化部長が語ったザーゴ招へいの理由。
鈴木強化部長は語る。
「(新監督)候補は4人いた。チームは生き物でその時の状況がある。良い監督とか悪い監督ということではなく、状況にあった人物を選ぶことにしている。石井(正忠)と(大岩)剛は選手の自主性を重んじていたが、今は代表クラスの選手がたくさんいるというわけではないので、監督の方向性をしっかりと示せるブラジル人とした」
時にピッチで見せた激しい闘志と勝負へのこだわりは不変で、それが今のチームに必要と判断されての監督就任となったようだ。
2020シーズンの鹿島は、指揮官に加え即戦力と目される実力者に将来性のある若手も獲得し、充実したメンバー構成となった。
だが、船出には厳しい現実が待っていた。「ここ3、4年の試合数の多さから選手たちには疲労が溜まっている」(鈴木満強化部長)と元日の天皇杯決勝を戦った主力組にはインターバルが当てられ、始動日はわずか十数人でのスタートとなった。
さらに宮崎キャンプでもチーム全体の調整はスローペースで進み、18日に行われた地元チームとの練習試合では先発した新加入選手が連係面で課題を残した。そして、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフで早すぎる敗退を喫してしまった。
チームは出足から躓く形となってしまった。だが、鹿島には強豪であり続けるための明確なビジョンがある。これがシーズンを戦ううえで何よりも強みだ。
「監督は自分の色を出したがるが、強化部の仕事は編成したらそれで終わりではなく、すべてを監督に任せるわけではない。自分を信頼してもらい、監督に対してしっかりと要望も出す。チームの流儀は合わせてもらわなければならない」(鈴木満強化部長)
鹿島のフロントには貫かれた方向性があり、その指針がぶれない確固たる根幹ができている。ザーゴの指導者としての強いリーダーシップに期待し、そしてスタッフがチームの道筋を示す。新たに加わる指導者、選手へ必然と伝統を受け継いでもらうための作業をしっかりできるところに、このチームの強さがある。
アジア制覇の目標は潰えた。しかしリーグチャンピオンの称号を取り戻すため、鹿島は新たに迎えたブラジル人先導者とともに突き進む。
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[取材・文:徳原隆元]