4月3日再開厳しい。Jリーグが描くシナリオ、最終手段「無観客試合」を採用するケースとは?
Jリーグの村井満チェアマン(2020年3月2日撮影)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
村井チェアマンが語っていた無観客試合への考え方。
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と一般社団法人日本野球機構(NPB)が合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の3月12日に行われた第3回会議のあとの記者会見で、Jリーグの村井満チェアマンはあくまでも無観客試合は最終手段であり、観客とともに試合を行えるギリギリの期限までは引っ張りたいという考えを示した。
その会議では、まずは無観客の試合を実施すべきではないか、いや観客とともに試合開催は可能ではないかという意見に関し、同ウイルスの専門家の間でも「実は意見が異なっている」という興味深い話も出た。
無観客であればリスクを大幅に軽減できる。そこから試合を行うというのも一つの手だ。しかし選手をはじめ、いずれにせよ感染リスクは通常よりも出てしまう……。そのように無観客でも難しいのではないか、という意見さえもある。
そうしたなか「専門家チーム」の一人である三鴨廣繁氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)は次のように提言していた。
「リスクをゼロにするのは不可能であるなか、指標や条件が揃い、感染を防ぐ機材や観戦準備が整うことを条件に、万全の準備をしたのであれば、お客さんとともに開催してもいいのではない。そのような私は意見を持っています。世の中が収束傾向にあり、十分な対策をしていれば、可能だと思っています」
そういった意見を踏まえたうえで、Jリーグの村井チェアマンは「無観客試合の開催判断」について次のように語っていた。
「国民の健康を守るとともに、社会的な公共財としての役割も私たち(Jリーグ)やスポーツは担っています。Jリーグは1節を終えたばかりで、できる限りお客様を迎え入れて全試合を実施することを考えて、スケジュールのやりくりを考えています。つまり、後ろにズラして修正し、なるべく試合をお客様とともにやりたいと考えています」
大相撲は日程が変更できず、またBリーグは終盤戦に突入しているため日程変更が難しく、非常に困難を伴っているという。そうしたなか、Jリーグについて、村井チェアマンは「日程調整の動かしようがない場合、そうした時には、無観客についても検討しなければいけないかもしれません。しかし、まだその前段階であります」として、次のように説明した。
「我々の事情によって、例えばお客様を迎え入れる環境が整っていないとか、ファンやサポーターから合意を得られていないとか、我々都合であれば試合はできないということになります。また、政府が非常事態宣言を出して、私たちの手ではどうにもならなくなった場合には、お客様と試合をできない場合も出てきます。すべて無観客を否定するのではなく、あらゆる手段を取り、無観客試合は最後まで回避したいという考えです」
つまり、観客とともに試合ができる日程までギリギリ引っ張る。今後は東京オリンピックが延期されるかどうかも関わってくる。
そして先日「昇格あり」「降格なし」の措置が決定したことで、試合開催に関しては、比較的柔軟に対応できるようになったと言える。
シーズンが突入したあと、もしもウイルス感染者やあるいは疑いのある者がチーム内や関係者で出た場合、無観客試合を交えてシーズンを行っていくこともあり得る――ということになりそうだ。
とはいえ、新型コロナウイルスは世界的に感染が広まり、また新たな局面を迎え、4月3日再開は難しい状況になってきている。果たして開催はできるのか――。そういった状況にもなってきている。
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[取材・文:塚越 始]