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一筋の光明。コロナ専門家会議が「スポーツ観戦」の条件を明文化。『直近1週間、感染者ゼロ』

横浜F・マリノスの仲川輝人(中央)、オナイウ阿道(右)ら。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

Jリーグ開催へ。都市部の警戒を強める一方、地域ごとに「適切な感染症対策を講じ、感染拡大のリスクの低い活動については」と定義づけ。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は4月1日、最新の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」をまとめた。そのなかで「都市部を中心に感染者が急増している」と警戒を強める一方、「直近1週間、感染者が確認されていない地域」であれば、スポーツ観戦、文化・芸術施設の利用について、感染拡大予防の対策を徹底したうえで可能だと明文化された。

 今回は都市部について、感染爆発も起こり得る非常に危険な状況にあることが、次のように強調された。

「今のところ諸外国のようなオーバーシュート(爆発的患者急増)は見られていないが、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告され、感染者数が急増している。そうしたなか医療供給体制が逼迫しつつある地域が出てきており医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている」

「いわゆる『医療崩壊』は、オーバーシュートが生じてから起こるものと解される向きもある。しかし新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繁に報告されている現状を考えれば、爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり医療現場が機能不全に陥ることが予想される」

 そのように予断を許さぬ状況であることが指摘された。

 一方で、感染状況を適切に表す3つの地域区分が、次のように定義づけされた。

1)「感染拡大警戒地域」
2)「感染確認地域」
3)「感染未確認地域」

 このうち、3)「感染未確認地域」について、次のように説明されている。

「感染未確認地域」:直近1週間、感染者が確認されていない地域(海外帰国の輸入例は除く。 直近1週間においてリンクなし[感染経路不明]の感染者数もなし)  
<想定される対応>  
・屋外でのスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用、参加者が特定された地域イベントなどについては、適切な感染症対策を講じたうえで、それらのリスクの判断を行い、感染拡大のリスクの低い活動については注意をしながら実施する。 

・また、その場合であっても、急激な感染拡大への備えと、「3 つの密」を徹底的に回避する対策は不可欠。いつ感染が広がるかわからない状況のため、常に最新情報を取り入れた啓発を継続してもらいたい。

――・――・――・――・――

 「直近1週間感染者ゼロ」の地域であれば、3密を徹底的に回避するなど条件付きで試合開催が可能――。そのように制限はあるものの、スポーツの試合開催ができる条件が定義づけされたのだ。

 ただし、現状であれば、都市部をホームタウンとするチームが絡んだ試合の開催は、選手・スタッフらの移動に伴う感染拡大のリスクを考慮すると難しいと言える。地域によって、節ごとに開催可能、不可能と分かれる場合もあり得る。

 また、たとえ開催できたとして、万が一、Jリーグの試合開催によって感染者が増加してしまう事態になれば、再び試合開催の是非についての議論も浮上するだけに、非常に神経を使うことになる。選手にかかるストレスも相当だ。もちろん、そもそもスポーツをできる情勢なのか、見極める判断の難しさも常につきまとうだろう。

 とはいえ、試合開催への条件がこのように明文化されたことは、サッカー界やスポーツ界に続いてきた暗闇のなかに、まだ先は見えないものの、一筋の光明が差したと言える。

 Jリーグはまず4月25日のJ3開幕を目指している。同日の5節では、いわてグルージャ盛岡対鹿児島ユナイテッドFC、福島ユナイテッドFC対ヴァンラーレ八戸、カマタマーレ讃岐対ブラウブリッツ秋田、カターレ富山対ロアッソ熊本などが組まれている。

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[文:塚越 始]

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