【大分】入場料が大幅増。コロナ中断に榎社長「非常な危機感を抱いている」
大分トリニータのサポーター。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
10年連続黒字計上、企業再生ファンド解消。
大分トリニータ(株式会社大分フットボールクラブ)が4月24日、定期株主総会を開き、その後、榎徹社長がビデオ会議システムによる記者会見を開いた。
2019年度は純売上18億6600万円を計上。そのうちチケット収入は当初目標にしていた3億5000万円を大幅に上回る4億7100万円。当期純利益は1億3200万円、純試算高が2億2600万円で、前期比1億800万円のプラスとなった。
榎社長は次のように語った。
「J1残留を果たせたことは大きな成果でした。また懸案であった企業再生ファンドを6月に解消できて、経営再建から成長への大きな局面に入りました。2009年の経営危機以来、県民、経済界、行政の一体となった支援、J3に落ちても支えていただいたスポンサーやサポーターの支援などがあり、黒字経営の基礎を築くことができました。株主の皆様には増資にもご協力いただいたことに感謝の意を表します。昨年度は、10年連続の黒字を計上することができました」
そのようにクラブ存続の危機を脱し、「成長局面」に入ったシーズンだったことを評価していた。
しかし一方、今期について、新型コロナウイルスによって、現在はJリーグの中断が続いている。その影響について榎社長は「非常な危機感を持っている」と語り、改めて”クラブ存続”にシフトした経営をしていくと語った。
「試合再開が遅れれば遅れるほど、日程は厳しくなり、通常の土日開催ができなくなってまいります。ウィークデー開催が増え、またコロナウイルス感染への懸念などから観戦を自重する方もいらっしゃると思います。観客数が大幅に減少することは予想されます。試合開催ができないことで、チケット収入に加えて、飲食、グッズ、後援会の売り上げも減少してしまいます。試合が開催されないことで、資金繰りへの影響も出てきます。複数のシナリオのもと、資金計画、事業計画を策定しています」
そして榎社長は「今期はクラブの存続、雇用の確保を第一に考えています。非常な危機感を持って対応していきます」と強調した。
また、可能性が高まっている無観客試合でのリーグ再開について、榎徹社長は「無観客について想定はしていますが、チケット収入が入ってこなくなるわけです。しかし、試合がないよりもまだましであると受け止めています。試合を少しでも届けたい、DAZNを通じて放映されることは大事だと思っています。経営を圧迫することが予想されますが、いろいろなシミュレーションをしていて、具体的に支援を仰ぐことについては、まだ決めていません」と説明した。
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[取材・文:塚越 始]