「中島翔哉の件は説明が難しい。問題は…」ポルト会長が明かす直接会話の内容とは?
中島翔哉。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
あくまでもチームの一員、とセルジオ・コンセイソン監督と“和解”への道を探る。
ポルトガルメディアの『マイス・フッチボル』は7月30日、ポルトガル1部リーグで優勝したFCポルトのルイス・ゴンサウヴェス会長が、セルジオ・コンセイソン監督の構想から外れたままの中島翔哉に関する状況を説明したことについてレポートした。同会長はクラブの練習に参加するように説得をしたものの、中島は家族の看病を優先したと言い、「(今後について)トレーニングに参加するため、まだある課題を解決したい」と、チーム復帰への道を探っていくと強調している。
「中島の件を説明するのは難しいです」
そう切り出したゴンサウヴェス会長は、次のように続ける。
「彼が新型コロナウイルス(COVID-19)について、どのように感じていたかも関係しています(もしかすると、家族や自身が感染している可能性もある状況だったため)。それは文化的と言うよりも、非常に身近な問題であったと思います。ポルティモネンセの日本人選手は練習に戻っていましたから」
私的な、しかし生命にも関わる問題である。だから、それぞれ公には話せないこともある。一方、「言葉の問題」もあったかもしれないと言う。
「彼の家庭の事情であり、家族が喘息を患っていました。そこで私は彼に戻ってきていいぞと40分ほど説得しましたが、適いませんでした。もしかすると、言葉の面で問題があったのかもしれません」
新型コロナウイルスの不安が覆う、過去になかった緊急事態である。上手くディテールについての相互理解を図れなかったかもしれないというのだ。
ただ、ゴンサウヴェス会長は「トレーニングに参加するために、問題を解決させていきます」と、セルジオ・コンセイソン監督と中島の仲介を買って出る考えを示している。
国内リーグを制したポルトは来季、UEFA欧州チャンピオンズリーグ(CL)の出場権を得た。新型コロナウイルスの影響のため。大会方式がどのようになるかは分からない。ただ連戦や変則的な日程になることを考えると、中島は貴重な戦力になると思えるが――。
カタールのアル・デュハイルから今季、ポルトのクラブ史上二番目に高い移籍金で加入し、背番号10を託された中島は、リーグ16試合・1アシスト、公式戦28試合・1得点・3アシストを記録。物足りなさはあるものの、十分リーグ制覇にも貢献している。
しかし今月20日にホームスタジアムであるエスタディオ・ド・ドラゴンで行われたモレイレンセFC戦、中島はスタジアムに現れず、優勝セレモニーに参加しなかった。記者会見で中島不在の理由を問われたポルトのセルジオ・コンセイソン監督は、「私がその質問に答える必要はありません」とだけコメントしていた。
ポルトは8月1日、ポルトガルカップ決勝でSLベンフィカと対戦する。
感染の有無に関わらず、新型コロナウイルスは人間社会の「分断」をもたらすウイルスだ。このままでは、ポルトは2冠を達成できても、COVID-19に対し、一つ“負ける”ことになりかねない。ゴンサウヴェス会長が、和解のキーパーソンになるか。
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[文:サカノワ編集グループ]