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Jリーグとプロ野球が観客数緩和を求め西村大臣に要望書提出。今後の課題は?スタジアムに人は戻ってくるのか

埼玉スタジアムでの浦和レッズのイレブンとサポーターによるビジュアルサポート。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

『2万人、または会場の50パーセント』を希望。政府にも規制緩和の動きもあるが、村井チェアマン「楽観視していない」。

 NPB(日本プロフェッショナル野球組織)とJリーグ(公益社団法人 日本プロサッカーリーグは9月8日、共同で西村康稔経済再生担当大臣の担当室宛てに連名で、観客数の規制緩和措置を求める要望書をメールで送付した。このあと文書でも送付する。

 要望書の概要は以下の通り。

「政府が5月に示したイベント制限の段階的緩和の目安では現在『ステップ3』にあり、これは一段と緩和したステップとして入場者数の制限は『50パーセント』と想定されています。私共としては、利用者の中間基準として、『2万人、または会場の50パーセント、どちらか少ないほう』を新たに導入することで、地域やスタジアム実情に合わせた段階的な緩和を進めていきたいと考えています。

 スタジアムへのアクセス、周辺での感染予防には、球団・リーグ・クラブ・自治体・交通会社などと協力して取り組み、ガイドラインの改正を情勢に合わせて適宜実施し、その成果もあり、再開された7月10日以降のプロ野球またはJリーグの試合においては、幸いにして、感染連鎖が発生していません。

 来年、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えており、私共がこの十分な感染対策を整えながら、より多くの方に安全かつ安心して、スポーツを観戦する場を提供することで、東京オリンピック・パラリンピックの開催にも寄与・貢献してまいりたいと考えています」

 一方、政府も9月11日に行う新型コロナウイルス感染症対策の分科会で、大規模イベントの入場数の規制緩和を19日に早めて認める方針だという。

 当初は9月30日まで現行の入場者数制限「会場の半分、あるいは5000人以下の少ないほう」が続く予定だったが、基本的には段階的に緩和されていく流れである。そこに「2万人あるいは会場の半数の少ないほう」と、当面の具体的な要望を求めたという。

 特にJリーグに関しては、1万5000人規模から5万~7万人規模まで、クラブや地域によってホームスタジアムの最大収容人数は大きく異なる。そのためJリーグとしては、一律の規制ではなく、各クラブや地域の実情にあった柔軟な対応が可能になるような方針緩和を求めた。

 村井チェアマンは次のように語った。

「JリーグはNPB様と連携しながら、15回にわたり連絡会議を重ねてまいりました。お互い競技は異なるものの、多くのお客様に支えられ、感染症の専門家の皆様のご意見を踏まえながら、この間を歩んできました。

 Jリーグは7月(J1)に再開し、多くのファン・サポーターの皆様のご協力をいただき、ガイドラインを遵守する形で、スタジアムでのクラススターや感染連鎖が起きていない状況で、お陰様で、ここまで歩んでくることができました。

 一方、各論で見ていくと、Jリーグはスタジアムの形状や大きさが、クラブによって差異があります。

 一律の5000人基準ですと、大きな日産スタジアムや埼玉スタジアムでは、90パーセント以上が空席の状況で、収容率は一桁台。その意味で、いきなり拡大するわけではなく、ステップ・バイ・ステップで引き上げていくことで、もう少し、お客様に楽しんでいただける。もしくは安全に観戦していただける手応えを感じています」

 そのうえで、チェアマンは具体的に、各クラブや地域がイニシアチブをとって対応できる状況になることが、当面の目指す理想の形になると語った。

「あくまでクラブ単位によって、地域の感染事情や状況が異なります。クラブが個々、裁量の範囲で対応できる上限を引き上げることで、柔軟な対応をできるかなと考えています。多くのクラブが行政所有のスタジアムを利用させていただいている関係もあります。公共交通を使わせていただくこともあります。今回は『要望』という形で政府に出させていただきましたが、政府の見解、行政のご判断を丁寧にお聞きしながら進めていきたいです」

 Jリーグとプロ野球のこれまでの取り組みを伝えたうえ、基本的には政府が示した方針に従い、試合開催を進めていく方針だ。

 一方、課題もある。

 一つは村井チェアマンも語るように、スタジアム外。交通・飲食店などで発生しうる三密をいかに避けるか。スタジアムの行き帰りは仲間との会話も弾む貴重な時間でもあった。出勤時の満員電車とは異なり、万が一感染者がいた場合、感染拡大のリスクは高まると言えるかもしれない。

 加えて試合後、基本的には遅い時間になる。仲間同士など飲食店での会話もまた楽しい時間だが、どのように感染予防に努めるか重要になる。

 そして何よりも、そもそもスタジアムに人が戻ってくるのか? その最大のテーマも残る。

 当面はイベント開催時の感染状況など様子を見ている人も少なくない。ナイター開催、あるいは帰宅が夜になる場合、子ども連れは、リスク回避のためそもそも来場を見送るケースも多い。

 何よりスタジアムにワクワクしながら向かう、というマインドを取り戻せるのかどうか。

 観客制限「5000人以下」でも埋まらない試合も多かった。観客数が緩和されれば、人が戻ってくる――。決してこのコロナ禍の時代、一筋縄ではいかなそうでもある。

 村井チェアマンも、今後はクラブの努力もまた大切になると語る。

「条件を緩和したからと言って、すぐお客さんがいっぱいに増えるとは楽観していません。お客様も私たちの感染連鎖などについて、しっかり見ています。安全である、安心であることを示しながら、段階的に進めていきたい。ただ、甘くはありません。集客努力に関して、コロナの『ある』『なし』に関係なく、引き続き経営努力をしなければいけないクラブもあります。一方、ほぼ満席が予想される試合でも、これまでは5000人の制限がかかってきました。(そういった試合は)50パーセント手前ぐらいのところで運用していくことになると思います」

 プロ野球とJリーグ協力し合い、また力強い一歩を踏み出した。

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[取材・文:塚越始]

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