【鹿島】曽ヶ端準が引退会見、来季アシスタントコーチに。「また違った形で、皆さんと一緒に戦っていきたい」
引退記者会見を行った鹿島の曽ヶ端準。(C)KASHIMA ANTLERS
「他チームでプレーする選択肢も考えましたが、気持ちが乗って来なかった」「鹿島で現役を終えられる幸せもすごく感じた」
J1リーグ鹿島アントラーズの元日本代表GK曽ヶ端準が12月27日、引退記者会見を行い、ユース時代を含めると鹿島で26年間、プロ選手としての23年間への感謝を語るとともに、来季ゴールキーパーのアシスタントコーチに就任することを明かした。
41歳の曽ヶ端は、まず引退を決断した背景について、次のように語った。
「充実した選手生活だと思っていますし、やってきたことに誇りに持っています。(引退を決断した理由について)いろいろな話の中で、正式発表はこのあとあると思いますが、アシスタントのキーパーコーチの話をいただき、一方、他チームでプレーする選択肢も考えました。ただ他のチームでやることに自分自身の気持ちの部分で乗って来るところがなかったのが、正直な気持ちです。選手として鹿島でこれだけ長くやって、鹿島で終われる幸せもすごく感じています。この先も鹿島で、チームのために働ける話をいただき、チャレンジしたいと思いました」
決して現役生活への悔いがないわけではない。今は少しずつ気持ちを整理している段階だという。
「今年は新型コロナウイルスの影響でお客さんが入ったなかでプレーする機会がほとんどなく、カシマスタジアムでもっとプレーしたい気持ちがあり、そこでの葛藤はありました」
そして23年間でのベストゲームを問われると熟考し、「デビュー戦もそうですし、優勝を決めた多くの試合も、ファイナルで負けた試合も……。どれというのはななか難しいです。いろんな選手とこれだけ長くできたのは幸せでした」と、曽ヶ端らしい答えを返した。
「全身全霊で練習からやった、と自分自身に言えると思いますし、そこはやり切れたと思います。チームの勝利のため、キーパーコーチという形ではありますが貢献できるようにやっていきたいと思います。選手一人ひとりが成長する手助けができればと思います」
そして同じ鹿嶋市であり鹿島の下部組織出身である沖悠哉への期待を問われると、鹿島の守護神はこう語った。
「沖だけに限りません。沖はレギュラーをとって新たなシーズンを迎える難しさがあると思います。(クォン)スンテも、ここからレギュラーを取り返そうという気持ちが、彼自身をまた成長させてくれるはずです。1年目の山田(大樹)もチャンスをもらい、いいプレーも見せました。ただチームは勝てなかった。このまま引き下がるような選手はいません。さらに大学から早川(友基)選手も入り、1年目の難しさはあると思いますが、自分の良さを出して、刺激し合ってほしいです。いいライバル関係を築き、キーパーのチームとして、みんなで戦っていければと思います」
鹿島のサポーターに向けて、曽ヶ端は次のように感謝を述べるとともに決意を示した。
「カシマスタジアムのピッチに立つため、アントラーズの勝利のため、アントラーズが優勝するために日々全力を尽くしてきたつもりです。そのなかで、ミスをしたり、勝利を届けられず、サポーターに残念な思いをさせたこともあったと思います。一緒に戦えたこの23年間は、すごく思い出深いものになりました。また違った形で、鹿島の一員として、皆さんと戦えればと思います」
鹿島の勝利のために、まず目の前のタスクに全力を尽くす。その姿勢と気持ちは、ユースチームに加入した95年から、そしてこれからも変わらない。
注目記事:中澤佑二、闘莉王、GKは…。J最多得点の佐藤寿人が引退会見で語った「壁となって立ちはだかってきた」存在とは?
[取材・文:塚越始]