反町改革、ユース年代のオフ設定を提唱「高校生は1年を通してサッカー漬けになるのが当たり前という風潮に、なんとかくさびを打ち込みたい」
松本での監督時代の反町康治氏。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
来年からユース育成プランニングに着手。インターハイの真夏の集中開催も改善したい意向。
日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長がこのほど、JFA公式サイトで連載中のコラム「サッカーを語ろう」を更新して、第7回「選手育成とユース改革」を掲載した。反町技術委員長はそのなかで、ユース年代のトップクラスのチームほど過密になるスケジュールを整理し、そのうえでパフォーマンス低下を避けるとともに熱中症の危険もある夏場に、選手たちのオフ期間を設けることを提唱。「高校生は1年を通してサッカー漬けになるのが当たり前という風潮に、なんとかくさびを打ち込みたい」と改革案を打ち出している。
反町技術委員長は2022年から「ユース育成のプランニングに手を加えていくつもりでいる」と明かし、「その経緯を分かりやすくお伝えしたい」と説明。U-17日本代表の活動を頂点に、同世代のトップ・オブ・トップのクオリティを上げる必要性を強調。そのうえで、「ユース年代のカレンダーに手を加えることを考えている」として、特に夏のインターハイ(高校総体)については、すぐにでも対策が必要だと訴える。
「インターハイはいろいろな競技が集まった高校生のオリンピックみたいなものだ。本家のオリンピックもサッカー競技は分散してやるように、インターハイも本体とは別に涼しい場所でやれないものかと思う。それはプレミアリーグやプリンスリーグも同じ。炎天下でパフォーマンスが上がらない試合をするより、夏場ならせめてナイター施設が整った場所で試合をさせた方がいいように思うのだ」
そのようにJFAが高体連と協議していく考えを示した。そして反町技術委員長は、ユース年代のオフ期間を設ける考えを示す。
「さらにいえば、年間を通しての日程の再編も今は視野に入れている。7月の終わりころから8月の初めのころにかけて、完全にブレークを入れるのである。世の中が『働き方改革』の名の下に、メリハリをつけながら生産性の高い働き方をしようという方向に動いていることを思うと、ユース年代のプレー環境はあまりにも無理がありすぎると感じるからだ。
プロの選手にオフがあるように、ユースの選手にだってサッカーから離れる期間があっていいはずである。高校生は1年を通してサッカー漬けになるのが当たり前という風潮に、なんとかくさびを打ち込みたいのである」
サッカー界にとっては当たり前だったが、反町技術委員長が高校生の頃から変わらずにいる課題、むしろトップ選手ほど負荷が偏ってしまう現状に「くさび」を打ちたいということだ。
「レベルの高い試合を年間を通してやり続けるにはメリハリをつけることが大事で、サッカーに不向きな夏場に休むのは、誰がどう考えても理にかなっている。夏休みに親と休暇を取ったことがないとか、部活の先生は家庭を顧みなくても仕方ないとか、どう考えても異常だろう」
育成年代にも踏み込む反町改革。多くの人がおかしいのでは? と感じていた点に、現場に長く立ち続けてきた目線と経験を生かし、具体的に、理論的に改善のメスが入れられていきそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]