【鳥栖2-0浦和】“矛VS矛”の駆け引き。明本考浩投入で、金明輝監督は本田風智に懸けた
鳥栖の金明輝監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
浦和が守備を修正。そこで生じた“綻び”を突く。
[J1 2節] 鳥栖 2-0 浦和/2021年3月6日/駅前不動産スタジアム
J1リーグ2節、サガン鳥栖が今季ジェフユナイテッド市原・千葉から加入したFW山下敬大の2ゴールで、浦和レッズに2-0の勝利を収めた。
試合が大きく動いたのがスコアレスで迎えた後半に入ってからだった。
浦和は田中達也に代えて、開幕戦ではスタメンで起用されていた明本考浩を投入する。浦和のリカルド・ロドリゲス監督はその意図を次のように説明した。
「前半はプレスが上手くかかっていたシーンもありましたが、止められなかった場面も2回ありました。掛けられなかった時の理由は、相手のワイドの選手の立ち位置との関係にあり、そこから中間点を使われ、前からプレスに行けず後ろに下がらざるを得ない状況となりました。(明本を投入した)後半はディフェンスのやり方を少し修正し、立ち位置を変え、より前から行けるようになりました」
明本の投入により、浦和はプレスの位置を高めた。
ただ、鳥栖の金明輝監督はそこで“綻び”を見出したと言う。
明本が投入されたことで、浦和はやや「前掛かり」になってプレスをかけてきた。より攻撃に重心を置いたと感じるとともに、ただ、そこにスペースも生まれ、「チャンスを作れる」と指揮官は59分、昨年U-20日本代表にも選ばれた本田風智の投入を決断した。
すると、この交代策が結実。チームとして狙っていたとおり、生じていたギャップで本田がパスを受けてタメを作り、自らも仕掛ける。そして投入から3分後の62分、自身のシュートのこぼれ球から、山下の先制点が決まった。
明本という「矛」に、本田という「矛」で対抗。その駆け引きが、結果的に明暗を分けることになった。
本田は「(前半の間)外から見ていて、いいチャンスがなく、積極的なシュートもあまりなかったので、自分が入って流れを変えると同時に、そういったチャンスではシュートに行く積極性を出していこうと思っていました」と振り返った。
また、金監督も「僕たちのやりたいことが、5枚か4枚かは別として、ベースは4枚であり、今日は浦和さんの対策の一つキーになるとトライしました。いい準備ができて、特に守備の面では上出来だったと思います」と、ポゼッションスタイルを標榜する相手に攻守が噛み合い2ゴールを奪って勝ち切り、確かな手応えを得ていた。
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[文:サカノワ編集グループ]