【新潟】長丁場のJ2レースを見据え「総力戦」の準備
アルビレックス新潟の加藤大。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
すでに GKは3人起用。ジェルソンコーチが語るその理由とは――。
[J2 4節] 横浜FC 0-3 新潟/2018年3月17日/ニッパツ三ツ沢球技場
「こういう状況(J2所属)でもスポンサーの数はJ1のときと変わらず、規模は縮小していません。それにこうして多くのサポーターがアウェーの試合でも応援に駆けつけてくれています」
試合前、アルビレックス新潟の中野幸夫代表取締役社長は、新潟カラーのオレンジ色に染まる三ツ沢球技場のアウェー側のスタンドを見ながら、そう言った。
今季、新潟は2004年にJ1へ昇格してから守ってきた地位を失い、戦いの舞台をJ2に移した。ここまでの成績はリーグ戦が1勝2分け(1節・カマターレ讃岐戦1-0、2節・松本山雅戦1-1、3節・京都サンガ戦1-1)。ルヴァンカップが1分け1敗(1節・ベガルタ仙台戦1-1、2節・FC東京戦0-1)だった。
「監督はキャンプから守備の練習に力を入れてきたので安定している。あとは得点力が上がってくればチームはもっと良くなる」(中野社長)。
確かに失点はリーグ、ルヴァンカップを合わせた5試合で「4」とまずまずの安定感を見せている。対して得点数も「4」。1年でのJ1復帰を目指すチームとしては得点力アップが望まれるところだ。
しかし横浜FC戦ではその攻撃面の懸念を払拭するように、34分に河田篤秀、さらに43分に矢野貴章、そして74分には勝敗を決定づける3点目を小川佳純が挙げて勝利を収める。守備面でもタレントが揃う横浜FCの攻撃を無失点に抑え、結果、内容ともチームのさらなる上昇を予感させる完勝を遂げた。
新潟には横浜FC戦前の5試合でひとつの疑問があった。それはGKの起用法だ。アレックス・ムラーリャと 大谷幸輝が2試合(大谷は横浜FC戦も先発)、渡辺泰広が1試合と、これまで3選手が先発していた。
この起用法についてジェルソンGKコーチは次のように説明した。
「もし正GKがケガで大事な試合を欠場し、第2、第3GKが出場することになったとき、しっかりとプレーするには公式戦の経験が何より重要になる。そのため監督と話をして、今はできるだけ多くの選手を出場させるようにしている」
今季からJ2勢も加わるルヴァンカップを”生かし”、長丁場のリーグ戦の戦いを見据えての意図を持った起用法だった。
中野社長も「中2日、3日と厳しい日程が続き、選手を入れ替えながら戦うことになるこれからが大事」と話していた。
リーグ42節、3位から6位であれば昇格プレーオフ、そしてルヴァンカップと天皇杯。試合数が多いJ2で結果を残すには、チームの総合力がポイントになる。安定した守備に加え、横浜FC戦では攻撃に勢いがついた。新潟は1年でのJ1復帰に向けて、着実に歩みを進めている。
文:徳原隆元
text by Takamoto TOKUHARA