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【U-17日本代表】福井太智、貴田遼河らキラリ光る。中村憲剛コーチから刺激

ランニングする福井太智(前列左)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

JFAの「ロールモデルコーチ」として初参戦。

 U-17日本代表候補が4月12日から4日間の日程で合宿を行った。チームは本来ならペルー・U-17ワードカップ(W杯)を目標に活動しているところだが、コロナ禍によって大会は中止。2020年から21年開催へと延期されていたU-16アジア選手権も見送られ、この世代の選手たちは目標を失っているのが現状だ。

 しかし、選手、日本サッカーの将来を見据えて強化は継続されている。4日間の合宿のメインメニューは3日目に45分×3本の形式で行われた大学チームとの練習試合だ。

 森山佳郎監督が望んだ大学生との対戦。U-17日本代表候補にとっては、相手がフィジカルで勝る試練の対戦相手だった。しかも会場の千葉は夕方から強い雨と風に晒され、試合は4月中旬とは思えない寒さとなる厳しい条件下で行われた。

 しかし、U-17日本代表候補だけでなく、相手の大学生チームも悪コンディションに負けず高いモチベーションを持って臨み、その結果、試合は激しい攻防の内容となった。

 勝敗が決したのは3本目。この試合で唯一となるゴールを名古屋U-18所属の貴田遼河がゲット。合宿参加メンバーで最年少の貴田遼河は得点以外にも前線で存在感を示すプレーを披露した。

  3本目には3月3日のルヴァンカップ・グループステージ1節に出場した鳥栖U-18の福井太智もプレー。派手さはないが左サイドで攻守の繋ぎ役として安定感あるプレーを見せた。

 激しい消耗戦を戦い抜いた翌日の最終日は、簡単なランニングとストレッチだけの練習となり、合宿の全日程を終了した。14日の午前中も午後に練習試合を控え、弱いとはいえ雨が降っていたため、室内で軽いトレーニングを行うだけに留まっている。

 選手たちは所属チームで試合、練習をこなしコンディションに差がある状況で平日に行われた合宿へと臨んだ。大きな大会が控えていない現状では、選手に無理をさせることなく合宿3日目の練習試合を軸に調整するような形で練習メニューは作られていた。

 取材する側に立って思うと、少し物足りない合宿に感じられる部分もあった。しかし、若い彼らがさらなる成長を遂げるには、今回のような内容の合宿は決して間違っていない。

 14日の試合のような年上のチームと試合をする試練は、選手の技術面を向上させるためにもろん必要である。そして、今の彼らにとって必要なものはほかにもある。

 それは技術面の強化だけでなく、国際大会を通して体験することができなかった世界を知り、選手として高い意識を持つことだ。ロールモデルコーチとしてチームに帯同した中村憲剛のような日本のトップレベルにあった選手と接して経験を聞く。ミーティングに長い時間が使われていたことも、選手たちの意識を高めるためのものだったのかもしれない。

 八咫烏のエンブレムのシャツを着てプレーすることも、自分たちがこの世代でトップレベルにあることを自覚するには十分に効果がある。世界を意識する視座が高まれば大きな大会がなくても合宿を行う意味はあるのだ。

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[取材・文:徳原隆元]

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